ソフト・マクロのCPUを使おう! ――FPGAによるシステムLSI設計の意味
3.FPGAにマイコンを組み込もう
論理設計完了後,すぐに実機で動作を確認できるFPGAの魅力は,ここで改めて説明する必要はないでしょう.かつてはASIC開発時の試作デバイスとして,また少量生産品にのみ搭載されていましたが,現在では量産品にも採用され始めています.競合製品に勝つためのtime-to-marketの短縮や出荷後のアップデート,将来の機能拡張性などの目的のため,コスト削減が厳しく求められるコンシューマ向け製品にもFPGAが使われるようになりました.
●組み込みシステムにおけるFPGAの使われかた
多くの組み込みシステムでは,FPGAはマイコンの周辺機能を補うために使われているようです.FPGAが最先端のプロセス技術を使ったデバイスということを考えると,なんとももったいないと思えてきます.
この理由は,ハードウェア設計におけるデバイスの選定順序を見ると明らかになります.
(1)外部仕様を実現するのにいちばん近い機能/性能を持ったマイコンを選択する.
(2)採用を決めたマイコンが快適に動作するためのメモリ・デバイスを選択する.
(3)採用を決めたマイコンだけでは不足する機能を汎用LSIやASIC,FPGAなどで補う.
このような流れで設計する限り,FPGAはいつまでたってもマイコンのサポート・デバイスのままです.