ソフト・マクロのCPUを使おう! ――FPGAによるシステムLSI設計の意味

浅井 剛

tag: 半導体

技術解説 2003年8月14日

 CPUコアをFPGAに内蔵するもう一つの手法は,ソフト・マクロのCPUの活用です.表3にFPGAベンダが提供しているソフト・マクロのCPUを示します.これらはいずれもロイヤリティ(各チップに対する使用料)が不要です.EDAベンダやIPベンダが提供するCPUコアもありますが,コスト的に少量
生産品には向かないので,今回は挙げていません.

 Altera社のNiosには32ビットと16ビットの2種類があります.Xilinx社のMicroBlazeは32ビット,PicoBlazeは8ビットです.筆者としては64ビット版など,さらにバリエーションが増えることを希望しています.

 ハード・マクロとソフト・マクロを比較すると,見た目にはCPUコアの実装形態の違いしかありません.しかしハードウェア設計時の検討事項を考えると,大きな差が出てきます.ソフト・マクロのCPUを使うときには,次のようなフローになります.

  1. CPUコアの動作パラメータの設定
  2. メモリ容量とリソース(FPGA内蔵/外部)の選択
  3. 必要な周辺I/Oの組み込み,アドレスおよび割り込みレベルの設定
  4. ピン・アサインの設定

 FPGA+ソフト・マクロCPUの組み合わせの特徴をひと言で言うと,不必要な論理をいっさい組み込まなくてもよいということです.また,ピン・アサインもすべて自由なので,組み込んだ機能を100%動作させるシステムを構築できます.また,最近は大規模なメモリを内蔵したデバイスも出てきているので,欲しい機能のすべてをFPGA内部のリソースで実現可能なケースも出てきました.つまりユーザがまったく自由にカスタマイズできる1チップ・マイコンをミニマム・オーダ1個からでも開発できるということになるのです(図6)

〔表3〕 FPGA用ソフト・マクロCPU

開発元
名 称
動作
周波数
適用
デバイス
提供される
周辺機能モジュール
開発キットの
価格
Altera社 Nios
(32ビット,16ビット)
125MHz Stratix
Cyclone
APEX(II)
ACEX
FLEX
DMAコントローラ
UART
SPI
PIO
メモリ・コントローラ
タイマ
ほか
995ドル
(評価ボード込み)
Xilinx社 MicroBlaze
(32ビット)
125MHz Spartan-3
Spartan-II(E)
Vertex(-E)
Vertex-II
Vertex-II Pro
UART
GPIO
メモリ・コントローラ
タイマ
アービタ
ほか
995ドル
PicoBlaze
(8ビット)
116MHz Spartan-II(E)
Vertex(-E)
CoolRunner-II
GPIOほか 無償

Altera社の情報 (http://www.altera.co.jp/products/devices/nios/nio-index_j.html)
Xilinx社の情報 (http://www.xilinx.co.jp/xlnx/ xil_prodcat_landingpage.jsp?title=Processor+Central)

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〔図6〕FPGAにソフト・マクロのCPUコアを実装して実現した1チップ・マイコン
不要な論理はいっさい組み込まない設計が可能.

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