つながるワイヤレス通信機器の開発手法(3) ――概要設計を行う
2.CPUやメモリ・サイズに目を向ける前に
製品機能が決まったところでその実現方法を検討する必要がある.これを「概要設計」と呼ぶ.基本設計,上流設計と呼ぶ場合もある.
仕様を読んだ.製品機能を決めた.そして,いよいよ設計に入る.これまでの工程を「関係ないや」というような感じで読んでいたエンジニアが,目を覚ます瞬間である.
「CPUは? OSは? メモリ・サイズは? 開発環境は?」.すぐにでも決めたいことがたくさんある.CPU,OS,メモリ・サイズを決めてしまうと,後は製品機能をどう実現するのか,そのギャップを埋めるだけである.やっぱりエンジニアが本気になる瞬間はこのときと言ってもまちがいないだろう.しかし本当にこれでいいのだろうか?
それはどうも違うようだ.実は,設計の流れはV字型構造を持っている.多くの設計者はこの形を理解せずに設計を行っていることが多いように思う.その結果,「早くCPUを決めよう! 設計を始めよう!」と言い出すことになる.
まず,このV字型設計手法について以下に説明する.それから概要設計の具体的方法について考えてみたい.