つながるワイヤレス通信機器の開発手法(3) ――概要設計を行う
●どこまで設計するべきか
以上の説明で,それぞれ守備(規格)範囲が異なるシステムや規格があるものを"ワイヤレス通信機器"とひとくくりに考えることが難しいことがわかっていただけただろうか.
では,上記のことを考慮に入れながら,機能について説明していく.表2に携帯電話,Bluetooth,ワイヤレスLANの規格化の範囲と製品機能例を示す.この表を見れば,それぞれの機器を作るときにどこまで規格に準拠しなければならないかがわかってくると思う.また,図6には,規格化とアプリケーション・インターフェースの関係を示す.Bluetoothは表1のとおり,さまざまなアプリケーションに対してアプリケーション・インターフェースを規格として用意している.
〔表2〕 規格化の範囲とその製品機能の例
この表を見れば,それぞれの機器を作るときにどこまで規格に準拠しなければならないかがわかる.
階 層
|
携帯電話
|
Bluetooth
|
ワイヤレスLAN
|
内容(例)
|
アプリケーション |
○
|
×
|
×
|
Webブラウザ |
メール処理用ソフトウェア | ||||
アドレス帳 | ||||
音声処理(フィルタリング,ミュート) | ||||
リンガ(呼び出し音) | ||||
モデムなどの外部インターフェース | ||||
アプリケーション・インターフェース |
○
|
○
|
×
|
各アプリケーションのインターフェース |
通信制御 |
○
|
○
|
○
|
誤り制御 |
フレームの分解組み立て処理 | ||||
通信相手の選択,アドレッシング | ||||
呼制御処理 | ||||
無線回路 |
○
|
○
|
○
|
送受信周波数 |
伝送速度 | ||||
変調方式 | ||||
送信出力 |
〔図6〕 規格化とアプリケーション・インターフェースの関係
表1に示したように,Bluetoothはさまざまなアプリケーションについて,アプリケーション・インターフェースを規格として用意している.灰色の部分が規格化されている範囲.