つながるワイヤレス通信機器の開発手法(3) ――概要設計を行う
ワイヤレスLANの場合,アプリケーション・インターフェースはEthernetに準拠しているだけなので,アプリケーション側でEthernetにつなげるためのインターフェースを新たに作る必要がある.
インターフェースが異なるということは,すなわち接続できないということである.
例えば,オーディオ・アプリケーションを考えてみる.送受信するデータはMP3,使う通信方式はワイヤレスLANだとする.設計者は,規格からはEthernetの切り口を与えられるので,MP3のデータをEthernetのフレーム構成に変換するアプリケーション・インターフェースを設計する.このように各メーカが独自にアプリケーション・インターフェースを設計するため,各メーカの製品間のデータの互換性が保障されない.
携帯電話の場合はアプリケーションまで規定されているので,各メーカの製品間の接続性に問題はない.Bluetoothの場合もMP3をそのまま入出力できるアプリケーション・インターフェースを規格化しているので,各メーカ間の相互接続性は保障されることになる.例えば,MP3デコーダを備えたBluetooth対応のヘッドホンがあるとする.MP3データをBluetoothで送受信する(Advance Audio Distribution Profileのオプション仕様)ため,Bluetooth準拠のプレーヤであれば図7のように使用することができる.
このように接続性とアプリケーションの関係も,それぞれの仕様で大きく異なる.製品機能を考えるときには,まずこれらの違いをよく把握してから使用する通信方式を決定し,機器に組み込んでいく必要がある.
〔図7〕Bluetoothの相互接続性
MP3のデコーダを備えたBluetooth対応のヘッドホンがあるとする.MP3のデータをBluetoothで送受信するため,Bluetooth準拠のプレーヤであれば図のように使用することができる.