つながるワイヤレス通信機器の開発手法(3) ――概要設計を行う
1.OSI階層モデルのどこまでを規格化しているのか
本連載第1回の「仕様を理解する」では,通信規格の大半はOSI 7階層モデルに沿って決められていると説明した.実際のところ,OSI 7階層モデルのどこまでを記述するか,標準規格化しているかといったことは,それぞれの機器や仕様ごとに異なる.では,どのように異なるのか.ここで,携帯電話,ワイヤレスLAN,Bluetoothを例に挙げて説明する.
●携帯は細かく,ワイヤレスLANは大まかに規格化
最初にそれぞれの仕様の使われかたを,図を用いて説明しよう(図1).ワイヤレスLANは主にパソコンで使用されるが,Bluetoothはパソコンと携帯電話の両方で使用される(図2).
〔図1〕携帯電話,ワイヤレスLAN,Bluetoothの使用形態
ワイヤレスLANは主にパソコンで使用されるが,Bluetoothは携帯電話の使用も想定されている.
〔図2〕3-in-1 phone
3-in-1 phoneは,携帯電話にBluetoothを搭載して,宅内のコードレス電話の子機機能や,基地局を介さずに子機どうしで通信するトランシーバのような機能(インターコム)を携帯電話に追加する考えかた.このしくみは,PHS(ARIB-28)で規格化されているが,積極的に使われているところはあまり見たことがない.某社のディジタル・コードレス電話ぐらいか....