PCI-X 2.0の仕様概要と設計方針(後編) ――I/Oセルの設計とパッケージング
PCI-X 2.0 モード2のI/Oセルは,以下のような状態で動作します(表1).
〔表1〕PCI-X 2.0 モード2のI/O状態
出典:PCI-X 2.0 60-day Review Draft, Section 4.1.2.1
I/O状態
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内 容
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ドライバ
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ターミネータ
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レシーバ
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L
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低電力 |
0
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0
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0
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B
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ブラインド |
0
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1
|
0
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Rc
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受信(共通クロック) |
0
|
1
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1
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Dc
|
ドライブ(共通クロック) |
1
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0
|
0
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Rs
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受信(同期クロック) |
0
|
1
|
1
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Ds
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ドライブ(同期クロック) |
1
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0
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0
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- 低電力状態(ドライバ,ターミネータ,レシーバがともにディセーブル)
- ブラインド状態(ドライバとレシーバはディセーブル,ターミネータはイネーブル)
- 受信状態(ドライバはディセーブル,ターミネータとレシーバはイネーブル)
- ドライブ状態(ドライバはイネーブル,ターミネータとレシーバはディセーブル)
受信状態やドライブ状態では,共通クロック・データ転送または同期データ転送のいずれかを選択できます.同期データ転送は,メモリ・ライト・ブロックやスプリット・コンプレッション注2,デバイスIDメッセージのデータ転送に使用されます.入力M2IO_A/B/Cを持つ三つのレジスタによって,セルの入出力状態の選択を制御します.
ブラインド状態や受信状態の場合,図5(a)の上から2番目と3番目のドライバがイネーブルとなり,レシーバの内部ターミネータを機能させます.ターミネータがイネーブルされると,上から2番目のドライバはプルアップされ,3番目のドライバはプルダウンされて,受信側にVIO/2のVTERMを供給する分割終端となります.C0,M2IO_RD,M2IO_CQは,受信セクション1,2の両方で使用されます.
ドライブ状態の場合,図5(a)の上から2~4番目のドライバがイネーブルになり,同じデータ値で並列にドライブします.出力側のインピーダンスは連結して,カテゴリ1におけるPCI-X 2.0 モード2のドライバ出力に適した値になります.ドライブ状態にあるとき,データ出力のため,M2IO_C入力を持つレジスタは共通クロック・データ転送または同期データ転送のいずれかを選択します.同期データM2SDOは,M2SClkによってクロック同期されます.M2SClkの周波数はバス・モード(DDRまたはQDR)によって変わり,共通クロックの2倍または4倍の周波数になります.共通クロック・データCDOは,共通クロックCclkによってクロック同期されます.
図5(b)に,外部ターミネータを付けたドライバの設計例を示します.この例では,三つのドライバを備えており,VTERMは外部から供給されます.このため,ダイ上に新しいパワー・リングと電源接続セル,さらに外部電源用のパッケージ・ピンを追加する必要があります.
注2;コンプリータ(ターゲット)からリクエスタ(マスタ)へのデータの送信(書き込み).
〔図5〕カテゴリ1 I/Oセルのターミネーション
(b)は,外部ターミネータ付きのドライバ・セルを表している.カテゴリ1 I/OセルはPCIの基本クロック周波数,および2倍,4倍の周波数でも動作する.