2012年7月アーカイブ

デバイスとクラウドの融合で創る未来

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Device2Cloudオープンセミナ2012を開催します。

 
Device2Cloudコンテストは3回目の開催ですが、このようなオープンセミナを開催するのは始めてです。
なぜ学生向けコンテストが、企業も対象に含めながら無料のオープンセミナを開催するのか?を解説させてください。
 
"クラウド"はバズワードだと思っています。しかし、組込みシステム開発において、クラウドはバズワード以上の意味を持つ言葉です。
組込みシステムの大きな特徴は、NTCR要件として、4つのキーワードで表現しています。
N はnature(自然法則),T はtime(リアルタイム制御),C はconstraint(制約条件),R はreliability(信頼性)です。
これは、SESSAME(組込みソフトウェア管理者・技術者育成研究会)が、2002年の発足時から、組込み開発の重要なキーワードとして掲げています。
"クラウド"はこのNTCR要件を制約(constraint)から開放するテクノロジーとして考えられるのです。
 
たとえば、組込み=制約(constraint)が全ての組込みシステムで重要になります。制約を考えなければ、コストなど無限大に考えられ、組込み機器として実装する必要性もないのですから。
メモリの制約、処理能力の制約、消費電力の制約、発熱の制約など多くの制約があります。
また、大きさへの影響では、フットプリントの最小化による、軽量・小型化が求められます。
みなさんがお使いの携帯電話やスマートフォンをイメージしていただければ分かりやすいです。
信頼性をはじめとする"品質"が重要なのも、説明の必要はないかもしれません。
バグがでない、故障しないというものが価値として重要性が減っている(自動車や医療系の機器は除く)と感じることが多くなっています。
 
最近はソフトウェア更新が可能なことが多くなっています。メモリは通信ができれば、ソフトウェア更新が可能です。
処理能力は、クラウド側で処理をさせる事で、組込み機器側での処理能力は、必要最低限になります。
例えば、画像処理の画像加工や文字認識はクラウド側で処理して、結果を端末で表示するのです。
面白い事例としては、クラウド側のコンピュータが処理するのではなく、人間が分担して作業し、結果を統合して返信する労働集約型のクラウドもあることです。
 
発熱は、クラウド側に処理を負担すれば処理能力が下がり、処理能力は下がります。マルチコアやメニーコアなども効果は期待できます。
大きさは、フットプリントとして如何に小さくするかが、機器の利便性を高めることになります。
近年は、高性=高価値でなく、利用者に対する価値や体験が求められます。
 
今回のセミナは、この"価値"や"体験"を考える機会にしたいと考えます。
対象はコンテストの対象である教育機関の学生・先生だけでなく、企業の開発現場の方も対象にしています。
学生にはチャレンジして欲しいですし、企業の方には優秀な学生の採用と、アイディアの商用実現を期待しています。
 
近年のIT業界では、欧米発のサービスやシステムが注目を集めています。日本の産業界、教育機関として今できることをしっかりと提供していきたい。
TVに向かって政治に文句(愚痴)を言うのは誰でもできます。
今後の業界、社会において今、自分達ができることをやりませんか? まずは自分が少しだけチェンジすることです。
 
このDevice2Cloudオープンセミナは、そんなチャレンジのトリガーになれればと思います。
申込は、こくちーずからお願いします。
アクセスできない場合には、infoATd2c-con.comまでメールください。ATは@にしてくださいね。
 

スマホ,クラウド時代にマイコンやハードのスキルは必要ない!?

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QuaSTom/SESSAMEの共催セミナも無事に終了しました。感想というか、講演を聞きつつ、会場メインのパネルディスカッションの内容から考えたことは後日レポートします。現在は、裏紙にサインペンで書く殴ったモノがあるだけ。これはこれで味があってお見せしたいところですが、解読出来る方は少ないので止めておきます。

 

今回は、7/13(金)に開催するSESSAMEワークショップの紹介をします。今回で、9回目を迎えるSESSAME伝統のワークショップです。一年に一回は、組込みソフトウェア開発を考え直す機会を提供しようということで、これまでいろいろな企画をしてきました。

中国から著名な先生を招き御講演いただいたり、技術系メディア編集長や、エレクトロニクスに明るいノンフィクション作家の先生の御講演などしてきました。最近は、話を聞くだけでなく、参加者がグループディスカッションして、知見を持ち寄り、現場に役立つ情報をその場で生成することもやっています。

 

今回は、元気のない製造業に引きづられ、元気がない感もする組込みソフトウェアについて、特に最近のはやりであるスマホ(Android、iOSなど),クラウドといった新しいシステムの形態や開発スタイルにおいて、組込み開発のコア技術とも考えられるマイコンやハードのスキルは不要か?という投げかけをします。

 

◆第9回 SESSAMEワークショップ

 

『5年後も活躍できる組込みエンジニアを考える -スマホ,クラウド時代にマイコンやハードのスキルは不要か?-』 

 

 

これまでの製品に適用されてきた技術の変遷を振り返りつつ、その時に技術者はどのような対応をしてきたのかを振り返ります。そして、現在の製品や開発スタイルに追従し、さらに5年後も活躍するために、技術者はどう振る舞うべきか、また組織はどのように振る舞うべきか・・・ 

組込みスキル標準(ETSS)を検討していた2004年頃、internetが普及し、無線WANも安く利用できるようになったころでした。組込みLinuxが出てきたばかりで、RTOSスキルを基本としつつ、ノンOSもまだまだ多かった頃です。すでに10年近く経過したITスキル標準(ITSS)と同じく、最新技術を追うのではなく、技術者に必要なスキルを考え、産業競争力に繋がるスキルの強化を目指していました。技術の進歩は速く、それ以上にグローバルマーケットにおけるビジネスはもっと速く変わります。

 

ワークショップ参加者は、組織やドメインが異なる方々です。同じ問題意識や同じ解決方法を考えることはありません。互いに刺激しあいながら、答えというか、アイディアを共有できればと考えます。IT勉強会のように、特定技術などを学ぶ機会ではありませんのでご注意を。

 

これまでを振り返りつつ、これからのことを一緒に考えませんか? 飲み屋でくだをまきながら、非建設的な話をするのではなく、グループディスカッションとして、技術・管理・人材育成・ビジネスについて語り、整理しましょう。私達ができることは、知恵を共有し、明るい社会を作る事です。

たぶん我々は根拠のない閉塞感に押しつぶされそうになっているだけかもしれません。技術を真摯に考え、機械産業、電機産業、半導体産業を教訓に、これからのことを考えましょう。