つながるワイヤレス通信機器の開発手法(17) ――市場に受け入れられる製品は何かを見極める
「8年前はディジタル携帯電話,3年前はW-CDMA,2年前はBluetooth,そして昨年はワイヤレスLAN.爆発的にはやったものもあれば,鳴かず飛ばずのものもある」,という書き出しで始めたこの連載.2年間ほどかけて仕様を読むところから検証まで,ワイヤレス通信機器の開発手法の一連の問題について説明してきた.本連載を執筆している間に,世間の動きはずいぶん変わったと感じている.今回は最終回として,ワイヤレス通信に関する動向の中で,携帯電話の今後のありかたや複数のワイヤレス通信機器の融合,インターネット技術の台頭などについて述べたい.これらのテーマは,現在のワイヤレス通信機器に深くかかわっている.どれも別々に論じられるものではなく,互いに絡み合っている技術と言える. (筆者)
筆者は,本連載が始まる以前からワイヤレス通信機器にかかわる記事を執筆してきた(1),(2).そこでも,今回と同様に「携帯機器の将来像」というものを書いた.執筆したのは5年ほど前のことだが,インターネット・コンテンツを携帯電話で閲覧できるようになることや,ディジタル携帯機器(カメラ,MP3プレーヤなど)の機能が携帯電話へ融合されること,また,その際に乗り越えるべきハードルについて説明した.その中で,さらに進化した形としてテレビ・チューナ内蔵の携帯電話を紹介したのだが,現在,すでに現実のものとなってしまっている.
ということで,今回は予言じみたことよりも,現在ある製品や技術が市場に出てきた意味について考えてみる.