つながるワイヤレス通信機器の開発手法(17) ――市場に受け入れられる製品は何かを見極める
1.ユーザの利便性プラスαがヒット商品を生む
製品の動向を見るうえで重要なことは,「だれが喜ぶのか」ということのようだ.例えば,後述のモバイル・セントレックス(企業内の内線端末として携帯電話を使うこと)はユーザの利便性と,法人ユーザを取り込みたいと願う電話事業者の思惑が一致した結果生まれた製品企画と言える.
● 地上ディジタル放送対応のチューナ
現在,携帯電話に搭載されているテレビ・チューナはアナログ地上波用であるが,今後,地上ディジタル・テレビ放送が普及すれば,当然,それに対応したチューナが携帯電話に搭載されることになる.
日本で採用される地上ディジタル・テレビ放送は,図1のように1セグメント受信と13セグメント受信の二つのフォーマットで行われる.二つの受信方法で受信できる放送コンテンツの内容はほぼ同じものだが,画質や分解能,オプション機能が異なる.13セグメント受信はHDTV(ハイビジョン・テレビ)など,家庭におけるテレビ視聴を意識したハイエンド受像器対応の受信方法である.一方,1セグメント受信は,画像の解像度は低くてもよいが,低消費電力動作を必要とする携帯電話などの携帯機器向けに用意された受信方法である.
ここで,「だれが喜ぶのか」という点であるが,まず携帯電話でいつでもテレビを見ることができればユーザは喜ぶだろう.また,放送局にとっては,今まで家に帰ってからしか見てもらえなかった(もしくは家に帰っても見てもらえなかった)人に放送コンテンツを見てもらえることになる.視聴率を稼ぎやすくなり,広告収入も期待できるだ
ろう.
図1 地上ディジタル・テレビ放送
6MHzの帯域を13のセグメントに分けて利用する.このうちの1セグメントが携帯機器向けの地上ディジタル放送に割り当てられている.