つながるワイヤレス通信機器の開発手法(17) ――市場に受け入れられる製品は何かを見極める
● インターネット技術を使ってコストを低減
そのほかのインターネットの特徴として,インターネットを用いることにより,従来技術の何十分の一のコストで同一の機能を実現できる点が挙げられる.
ワイヤレス通信ではないが,例えばフュージョン・コミュニケーションズという電話事業者は,従来,発信者と着信者の間の距離に比例して高くなっていた市外通話の通話料金を,2000年4月から日本全国で一律3分20円とした.フュージョン・コミュニケーションズは長距離通信系電話会社のベンチャ企業である.長距離通信系電話会社としては,このほかにKDDIやNTTコミュニケーションズなどがある.フュージョン・コミュニケーションズは従来の電話交換技術をいっさい使わずに,インターネット技術を使ってサービス施設を作り上げた.こうして通話料金を下げることで,ベンチャ企業でありながら,たった4年間で250万のユーザを獲得した.
この流れは携帯電話の世界でも広がっており,まずは携帯電話基地局がつながる固定網がIP化され,その後,携帯電話と基地局の間の通信方式がIP化される予定になっている.第4世代携帯電話では,無線区間も含めてすべてIP化するような提案も出されている.