つながるワイヤレス通信機器の開発手法(17) ――市場に受け入れられる製品は何かを見極める
なお,モバイル・セントレックスの形態は,図2に示したもののほかにもいくつか種類がある.例えば図4(a)は,KDDIが提唱している方法である.携帯電話の端末と通信方式は通常のものをそのまま使い,社内に置いた携帯電話用の小型基地局とIP-PBXをさらに上位の携帯電話事業者のネットワークで接続して,内線の転送などを行うしくみになっている.図4(b)は,従来の構内PHSをIP化して使用する方法である.図4(a)と同様,PHSの端末と通信方式は従来のものを使用できるので,実用化に際してのハードルが低い.表1に各方式の比較を示す.
モバイル・セントレックスのように携帯電話にほかのワイヤレス通信規格を組み込んだ機器は,これからも多く現れるだろう.
図4 法人向けコードレス電話
(a)はKDDIが提唱している方法で,従来の携帯電話を用いる.(b)ではPHSの通信方式を用いる.
表1 各形態の比較<構内PHS用端末の基本機能は従来のPHS端末と同じだが,業務用機能(転送機能など)を追加する必要がある.また,現在のところ出荷台数が少ないため,端末自体の価格は高めである.br />
しくみ |
回線設計の
容易さ |
端末のコスト
|
運用コスト
|
施設のコスト
|
モバイル・セントレックス(図2) | 難しい | 高い (特殊な端末が必要) | やや高い | やや高い |
携帯電話 (図4(a)) |
やや難しい | 安い | 高い | 高い (小型基地局が高価) |
構内PHS (図4(b)) |
容易 | やや高い | 安い | 安い |