システム・イン・パッケージに組み込まれるMEMS慣性デバイス ──小型,高精度を生かすMEMSデバイスのキラー・アプリ
●インターフェースICとMEMSセンサを1パッケージに
MEMS技術を利用すると,機械的センサやインターフェースICを含むシステムを1チップに集積することが可能となります.しかし,技術的に実現可能であるということが,必ずしも良いアイデアであるとは限りません.実際のシステムにはコストの制約があり,1チップ化するよりも,一つのパッケージに複数のチップを収めるシステム・イン・パッケージ(SIP)のほうが効果的な場合もあります.
一般に,このような手法では,複数のチップを並べて取り付けられるリード・フレームを使用します.最近では複数のチップ(ダイ)を縦に積み上げる技術もあります(写真2).筆者らは,特に慣性センサについては,二つのチップを1パッケージに封止しています.すなわち,加速度を静電容量の変位に変換するMEMSセンサ・チップと,微弱な静電容量の変位を出力信号に変換するインターフェースICチップを1パッケージに収めています.
こうした1パッケージ化の技術を応用した3軸加速度計 モジュール「LIS3L02」を筆者らはサンプル出荷しています(図3).本モジュールでは,QFN(quad flat non-leaded package)またはSOP(small outline package)内部に,MEMSセンサ・チップとインターフェースICを収めています.ユーザは,測定する加速度の範囲として,2gまたは6gを選択できます.また,静的加速度(重力など)と動的加速度(振動など)の双方を測定できます.
〔写真2〕システム・イン・パッケージ
複数のチップ(ダイ)を並べて取り付けたモジュール(写真左)と複数のチップを縦に積み上げたモジュール(写真右).
(a)外観
(b)電気的特徴
電源電圧 | 3~5.25(V) |
消費電流 | 0.8(mA) |
検出範囲 | ±2(g),±6(g) |
等価ノイズ加速度 | 1gの100万分の300以下 |
耐衝撃性 | 3,000g以上 |
(c)ブロック図
〔図3〕 3軸加速度計
筆者ら(STMicroelectronics社)が開発した3軸加速度計モジュール「LIS3L02」の概要を示す.