松下電工,外形寸法が4.0×2.5×1.3mmと小さいMEMSリレーを開発中 ――6インチ・プロセスの導入でMEMSデバイス量産設備を強化

組み込みネット編集部

tag: 半導体 実装

レポート 2003年9月23日

 ここ数年,シリコンMEMS(micro electro mechanical systems)技術が注目を集めている.この技術を用いると,半導体製造とほぼ同じ工程を用いて,微細な3次元構造(各種センサ,インダクタンスなど)をチップ上に集積できる.圧力センサや加速度センサ,インクジェット・プリンタ・ヘッドなどに応用されている.

 松下電工は,MEMSデバイスの設計・製造を行っている1社である.2002年1月からはMEMSファウンドリ・サービスも開始している.同社はすでに,MEMS技術を用いた圧力センサや1軸加速度センサを出荷している.実際,圧力センサは血圧計などに,加速度センサは自動車のABS(anti-lock braking system)などに組み込まれているという.

 現在は,MEMSリレーと3軸加速度センサを開発中である.いずれの製品もシリコン基板自体を加工して構造物を作るバルク・マイクロマシーニング技術を採用している.

 開発中のMEMSリレーの外形寸法は4.0mm×2.5mm×1.3mm(写真1).電磁駆動でON/OFFを行い,3Vの低電圧駆動が可能である.また,6GHz~10GHzの帯域に対応している.これらの特性を生かし,携帯電話やワイヤレスLAN搭載の携帯機器などの需要を見込んでいる.MEMSリレーの構造を図1に示す.リレーの上面(シリコンばねの部分)をMEMS技術を用いて加工している.

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[写真1] MEMSリレーの外観
写真右下がMEMSリレー.外形寸法が4.0mm×2.5mm×1.3mmと小さい.

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[図1b] MEMSリレーの構造
動作原理は基本的には従来の機械式リレーと同じで,電磁石の原理を応用している.すなわち,コイルに電流を流したり,遮断することによって可動接点を開閉する.

 3軸加速度センサは低g,つまり静的加速度(地球重力)の計測に対応しており,傾きの検出を行うような応用例が考えられる.センサ・チップ自体の大きさは1.7mm×1.7mm×0.9mm(写真2).セラミックスのパッケージに封止した場合の外形寸法は2.6mm×3.3mm×1.5mm.ただし,このパッケージには信号増幅回路は含まれていない.2003年10月7~11日に幕張メッセ(千葉県千葉市)で開催されるCEATEC JAPAN 2003では,信号増幅回路を内蔵した製品の展示を行う予定である.

 加速度の検知にはピエゾ抵抗方式を利用している(図2).加速度がかかると,おもりが変位し,はりがたわむ.このときの各軸に設けられたピエゾ抵抗素子の抵抗値の変化量を測定することによって,加速度を定量的に検出する.なお,本加速度センサの消費電流は1mA程度.

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[写真2] 3軸加速度センサ・チップの外観
センサ・チップの大きさは1.7mm×1.7mm×0.9mm.

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[図2] 3軸加速度センサ・チップの構造
シリコン基板の加工(ドライ・エッチング)にはICP(誘導結合プラズマ)方式を採用.

 同社は,伊勢工場に6インチ・プロセスを導入し,2003年8月からは圧力センサの生産を開始した.従来は,門真の半導体開発センターなどで圧力センサや加速度センサなどを生産していた.今後は,前者は量産用の工場として,後者は企画.開発用として運用していく.伊勢工場への設備投資は約20億円.

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