システム・イン・パッケージに組み込まれるMEMS慣性デバイス ──小型,高精度を生かすMEMSデバイスのキラー・アプリ

Barbara Grieco

tag: 組み込み 半導体 実装

技術解説 2003年12月13日

●MEMS市場,3年後には96億ドルの規模に

 現在,もっとも一般的なMEMS技術の応用製品は慣性デバイスです.具体的には,加速度計,コリオリ効果注1
を用いたジャイロスコープなどが挙げられます.これらはSi構造物の移動によって微小な加速度を検知し,それが原因となって発生する静電容量の変化を利用して加速度の量を測定します.このようなデバイスは,主に自動車産業で利用されています.例えば,エア・バッグでは非常に高いg(重力加速度)を検出するために,またロール・オーバ(自動車の横転)検出システムやビークル・ダイナミクス(路面状態に応じて自動車を安全に走行させる)システムでは低いgを検出するために使用されています.

 いずれにしても,低コストで高感度のセンサ性能が得られるため,幅広い最終製品に応用され始めています.同時に,位置や移動の検知に関して新しい手段を提供しています.

 最近では,通信機器,民生用機器,産業用機器といった分野がMEMSデバイスにとっての新たな市場と考えられており,MEMS市場のけん引役となることは明らかでしょう.

 例えば,携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)では機器を傾けるだけで画面をスクロールさせるといったことを実現できます.またゲーム・パッドについては,パッドを動かすだけでボタン操作を行うことなくゲームを楽しむことができます.MEMSセンサが傾きを検知できるので,こうしたことが実現可能なのです.さらに,MEMS技術を応用した加速度計は,洗濯機や乾燥機,エアコンなどの家電製品向けの振動検出に応用できます.このほかにも,回転角加速度計をハード・ディスク装置に応用すれば,ヘッド位置決めサーボ系に影響する振動を検知して,補正処理を施すことができます.

 米国の市場調査会社であるIn-Stat社の予測によると,通信市場と民生市場がけん引役となって2006年にはMEMS市場は96億ドルに成長し,CAGR(年平均成長率)はほぼ20%に達するものと見込まれています.この成長は,通信機器や民生用機器だけでなく,より大量生産が見込まれる最終製品を含む新しいアプリケーション分野が出現するためにもたらされるものです.

 注1;回転する座標系において,周期的な速度(振動)をマイクロ構造体に与えると,その振動に対して直交方向に周期的な加振力が発生するというもの.

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