PCI Express デザイン・ガイド ――LSI開発者のための設計Tips
2)物理層
いままでのPCIからいちばん大きく変わったのは物理層です(図5).信号は,片方向2.5Gbpsの転送能力があります.0.8Vの差動信号を採用し,デバイス間は1対1で接続します(ポイント・ツー・ポイント).片方向に2本(差動信号なので),双方向で合計4本の信号で構成される組(これをレーンと呼ぶ)を必要に応じて増やしていくことが可能で,バンド幅を必要なだけスケーラブルに広げられます.複数(または1本)のレーンを束ねた組をリンクと呼びます.
リンクは,1レーンで構成されるx1(バイ・ワン),2レーンで構成されるx2,x4,x8,x16,x32が規定されており,「x1リンク」,「x4リンク」という呼びかたをします(図6).規格としては,リンクにこれらのバリエーションが許されていますが,実際の市場では,おそらくx4とx8,x16あたりが主流になると思われます.
また,将来的には,転送レートを2.5Gbps以上にすることも検討されています.
〔図5〕 物理層の構造(x4リンクの例)
片方向に2本,双方向で合計4本の信号線を束ねたものがレーンである.複数(または1本)のレーンを束ねたものがリンクで,束ねた本数により「x1リンク」,「x4リンク」などと呼ぶ.
〔図6〕レーンを32本まで束ねることができる
片方向2.5Gbpsのレーンは,ポイント・ツー・ポイントの差動信号で構成される.PCI Expressは,レーンの数を増やすことで必要なバンド幅を容易に得られるスケーラブルなバスである.