PCI Express デザイン・ガイド ――LSI開発者のための設計Tips
●コネクタとアドイン・カードのフォーム・ファクタ
リンクによってコネクタの種類(大きさ)があり,リンクの幅の大きいスロットは,小さいリンクのカードを使用することができます(逆は不可.図14,表1).
コネクタは,コストを重視した既存の技術で実現できるように規定されています.x1リンクでは36ピンのコネクタを使用します.PCIの120ピンと比較すると,ずいぶん小さくなります.カード・エッジとのコンタクトはシングル・コンタクトで,ピン間は1mmです.コストのかかる特別なコネクタではありません.基板への実装もスルー・ホールで行います.PCIと同じ技術で製造することにより,コストを抑えています.
コネクタに用意されるほかの信号としては,
- 参照クロック(100MHz)
- SMBus
- PowerGood
- Wake
- JTAG
- カード検出
があります.
コネクタ側(システム側)の電源は,3.3Vと12Vを供給します.オプションでパワー・ダウン・モードに使用する3.3Vauxがあります(-5Vや-12Vはなくなった).デスクトップ用,サーバ用,グラフィックス用のそれぞれによって,最大消費電力が異なります(表2).
アドイン・カードのフォーム・ファクタは,高さ4.20インチのスタンダード・ハイトを基準に,ロー・プロファイルが高さ2.536インチ,ハーフ・レングスで長さ6.6インチ,フル・レングスで12.283インチが規定されています.ブラケットは,PCIと同じものを使用します.デスクトップ・パソコン用のカードはスタンダード・ハイト,ハーフ・レングスが主流になると思われます.
〔図14〕PCI Expressのコネクタ
PCI Expressのコネクタはエッジ型で,PCIと同じ製造技術レベルのコネクタを使用している.x1リンクのコネクタは36ピン.x1,x4,x8と数字が上がるにつれて,ピン数が増え,コネクタが長くなっていく.
〔表1〕大きいスロットに小さいカードを使用することもできる
カード・スロットは,下位互換性を維持している(表の灰色の部分).例えば,x8リンクのコネクタにx1リンクのカードやx4リンクのカードを使用することも可能である.
スロット
カード |
x1
|
x4
|
x8
|
x16
|
x1 |
使用可
|
使用可
|
使用可
|
使用可
|
x4 |
使用不可
|
使用可
|
使用可
|
使用可
|
x8 |
使用不可
|
使用不可
|
使用可
|
使用可
|
x16 |
使用不可
|
使用不可
|
使用不可
|
使用可
|
〔表2〕最大消費電流
PCI Expressカードに供給できるスロットの最大消費電力は,用途によって異なる.それに伴い,最大消費電流も異なる.
最大消費電力
電源電圧 |
デスクトップ用 x1コネクタ 10W |
サーバ用 x1,x4,x8,x16 25W |
グラフィックス用 x16コネクタ 40W |
3.3V±9% | 最大3A | 最大3A | 最大3A |
12V±8% | 最大0.5A | 最大2.1A | 最大3.3A |
3.3Vaux±9% | 最大375mA | 最大375mA | 最大375mA |