PCI Express デザイン・ガイド ――LSI開発者のための設計Tips
○● COLUMU ●○
PCI Expressグラフィックス
PCI Expressの登場は,グラフィックス・バスの将来にも変化を与えています.
グラフィックス・バスといえばAGPが主流ですが,今後AGPx4,x8の先はPCI Expressに移行すると思われます.バンド幅の観点から見れば,AGPx8は2Gバイト/sの転送能力を持つため,PCI Expressのグラフィックスは2Gバイト/sを超えるx16(4Gバイト/s)が採用されるでしょう.
今後はハイビジョン・テレビなどの普及により,2Gバイト/sを超える帯域やPCI Expressでサポートされる同期転送(アイソクロナス転送)などが,PCI Express採用の動機となっているもようです.ハイビジョン・テレビのキャプチャやリアルタイム・エンコードなどを行うには,最低でも2Gバイト/sが必須と言われており,AGPx8は2Gバイト/sは提供できますが,マージンなどに不安が残るからです.しかしその一方で,PCI ExpressではGART(Graphics Address Remapping Table)をはじめとするグラフィックス・バス固有の機能がなくなってしまうという欠点があります.
PCI Expressの登場で,グラフィックス・バスの将来動向も目が離せない状況が続きそうです.