フレッシャーズのための組み込みソフト開発講座 ――新人エンジニアがまわりの信頼を勝ち得るには...
●まわりの信頼を勝ち取るには...
筆者がすごいと思ったある先輩の話です.当時,その先輩はまだ入社半年未満の新人でした.ディスク制御プログラムの開発に携わっていたとき,どうしてもデータが1バイトしかディスクからメモリに転送できないという状況が発生しました.各デバイスの設定を見直しても,プログラムに問題はなさそうでした.そこで,その先輩は,半導体デバイスのマニュアルと回路図を調べて,回路に問題があることを発見し,それを上司やハードウェア設計者にきっちりと伝えました.
入社半年未満の新人だと,なかなかここまではできないものです.先輩いわく「新人の言うことなど,なかなか取り上げてもらえないから,十分な証拠を集めることにした」とのことでした.現状に対する十分な理解と論理的な思考,正確にものごとを伝えるための表現力があってこそであると思います.
「信頼されていない」というのは大げさであるにしても,新人のうちはミスをしてあたりまえと思われています.みなさんにとっては,あまりおもしろくないことだとは思いますが,例えば,学生のころ,アルバイト先の後輩のことをどう思っていましたか?それほど信頼していなかったのではないでしょうか.会社でも同じで,なんの実績もない人は,ことばだけではなかなか信用してもらえません.一つ一つ小さなことを積み上げ,信頼を勝ち得ていくことによって,まわりの目が変わっていくのです.じれったくても,こつこつとやっていくことが大事です.
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