フレッシャーズのための組み込みソフト開発講座 ――新人エンジニアがまわりの信頼を勝ち得るには...
●「がんばる」だけでは済まないのがプロの仕事
筆者がある新人エンジニアの指導をしていたときのことです.その新人にあるプログラムを書いてもらったところ,保守性や性能の面で明らかに問題があり,書き直してもらうことにしました.すると,その新人エンジニアから,「わたしはがんばったので,これが精いっぱいです.これ以上のことはできません」と言い返されてしまいました.いっしょにプログラムをチェックしようと提案しても,「わたしにはわかりません」の一点張りです.何とかなだめすかして書き直してもらったのですが,指導する立場としてはやりきれない気持ちでした.
このようなタイプの新人を指導しているとき,正直なところ「がんばれば,それでいいのか?」と思ってしまいます.例えば,レストランで十分に火が通っていない料理が出てきたら,調理人がいくら「がんばったんです」といってもとおりません.プロの仕事の場合,いくらがんばっても,ある基準をクリアしないと意味がないのです.がんばることそのものは否定しませんが,そのがんばりを評価するのは自分ではなく,ほかの人であることを理解してほしいと思います.
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