エンジニアの「外に出てみた」体験記(2) ―― 行動を起こせば,人は性格だって変えられる

上條 飛鳥

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コラム 2013年2月18日

エンジニアが「初めて外に出てみた」ときの体験談の第2回である.今回の筆者は「行動を起こせば,人は性格だって変えられる」と断言する.その言葉は,筆者自身の体験に基づいている.(編集部)

 もうすぐ入社3年目が終わろうとしています.筆者のしごとは,ERPパッケージのコンサルタントおよび開発エンジニアです.業務の忙しさには波がありますが,行き帰り共に通勤ラッシュにぶつかる程度の労働時間で済んでいます.19時以降はプライベートの時間にするよう努力しています.

 

●初参加の勉強会で全身が沸き立つ

 筆者が参加した最初の社外活動は,「ソフトウェアテスト技法ドリル」という書籍を章ごとに輪講していく勉強会でした.先輩から誘われて,ちょうど興味のある分野だったため,参加を決めました.参加する前は,どちらかというと緩い空気が漂う環境をイメージしていました.「どうせ参加するのなら,何かしら面白い収穫を得て帰ろう」,というくらいに考えていました.

 いざ参加してみると,全身が沸き立つような熱気に圧倒されました.それまでの自分では考えつかなかった視点や,知らない技術,経験知などです.例えば,保守や決済を担うとき,そのシステムはユーザにはどのように映るかという視点や,テストの内容を考えるときにペルソナ(架空の人物)を設定し,ユーザになりきって目的を洗い出す技術です.普通のユーザよりも,初心者や熟練者をイメージしてテストを考えた方が効果的であるという経験知もあります.そういったものを,勉強会の間中,常に浴び続けました.社内だけでは到底味わう機会がなかったであろう,活力の大海を垣間見た気がしました.参加者の皆さんは人柄の良い面白い方ばかりで,楽しく参加することができました.

 

●初登壇は予想外の連続

 その後は,ソフトウェア・テスト・ワークショップ合宿「WACATE(Workshop for Accelerating CApable Testing Engineers)」やソフトウェア構成管理(Software Configuration Management)を学ぶ勉強会「SCMBootCamp」などに参加しています.2012年冬からはWACATEの実行委員になり,運営側として初登壇も経験しました.

 初めての登壇は,予想外の連続でした(写真1).参加者にワークを行ってもらうときに,前提を伝えるべきところの順序が前後してしまったり,用意した回答欄に対して「この枠では書くことがない(視点が違う,普段はこう考えない)」という指摘を受けたり,1,2名程度と考えていたゲスト(飛び入り講師)の方が6名も来られたり....ともあれ,多くの方のご支援・ご協力をいただき,初登壇は無事終了しました.

 

写真1 「WACATE2012 冬」で登壇したときの様子

 

 

 

●自分の性格は変えられる

 「行動を起こせば,人は性格だって変えられる」.筆者はこの言葉を信条としています.性格はあっさりと変えられるものではない,と思われがちですが,勇気を出して行動を起こしてみると,意外とあっさり変わることがあります.自分を広げ,高め,深めたいのなら,外へ出ることを強くお勧めします.外の世界に出ると,内側で熟成するよりも早く,そして楽しく変化がやってきます.一歩,自分を外へ追い出してみましょう.「出てみましょう」という柔らかい言葉は使いません.自分を外へ「追い出す」のです.

 以前の筆者は,人と話すどころか,目を合わせることすら苦手でした.しかし,大学に進学するとき,心の中で「まずい」と感じました.このままでは,面白い,楽しい,かっこいい未来には到底たどり着けないとも思いました.自分を外へ追い出し,行動を起こそうと考えました.

 そこで筆者は,塾講師と演劇を始めました.人と対面し,相手を見て話さなければならない環境へ,自分を追い出したのです.塾講師のアルバイトでは,日々生徒と対面し,その日伝えるべき内容をきちんと伝えられるように話さなければなりませんでした.演劇では,ほかの役者や観客と対面し,語り,劇を進行させなければなりませんでした.そうすると,驚くほどあっさりと,変化がやってきました.この時自分を外へ追い出したおかげで,今はコンサルタントとして顧客とスムーズに対話できるまでになりました.

 以後,学生時代を経て社会人になった今でも,筆者は自分に不足しているところを見つけるたびに,それを求めて自分を外へ追い出しています.冒頭にお話しした「ソフトウェアテスト技法ドリル」勉強会とも,そのような行動の中で巡り合いました.

 「人から聞いた話」はしょせん聞いた話にすぎませんし,Webで読んだり見たりしたものも,実体験に比べれば,あまりにもはかないものです.一歩,自分を外へ追い出して,自分で体験してみましょう.「行動を起こせば,人は性格だって変えられる」.この言葉を,心の底から実感しています.

 

●若手のうちにやっておきたいこと

 筆者は「若手」を,27歳までだと考えています.3~5年の社会経験を積んだこのくらいの歳で,その先のキャリア・プランに変化が出ると思います.筆者は,27歳になる前に,自分で勉強会を開催したいと考えています.ちょうど今,ウォータ・フォール・モデルの開発工程をアジャイル開発と融合させる方法について考えているので,2013年のうちに,その勉強会を開催できるよう頑張ります.

 そして,28歳までに一つのプロジェクトで開発工程を要件定義から納品まで体験し,三十路を迎える前に,「自分には周りを支えられる力がある」と胸を張って宣言できるよう,努力を続けたいと思います.

 

かみじょう・あすか

 

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