フレッシャーズのための組み込みソフト開発講座 ――新人エンジニアがまわりの信頼を勝ち得るには...
●プレゼン能力や文章作成能力が必要
コーディングにしても,設計資料にしても,「いつ,なぜ,どのようにした(変更した)」ということをメモとして残すことは必須です.「後でまとめて」という考えでは,たいてい失敗します.その場で記録することが重要です.そして,そうしたメモの集まりが,後になってあなたの身を助けてくれるでしょう.
また,情報を的確に伝えるスキルは重要です.ソフトウェア・エンジニアは,コンピュータだけを相手にしていればいいかというと,とんでもありません.それが良いことかどうかは別にして,ソフトウェア・エンジニアの仕事の時間の多くは,情報伝達によって費やされています.そのために重要となるのはプレゼンテーション能力(会話,文章,図表などを組み合わせて表現する能力)です.
ただし,文章は日々書いていないとうまくなりません.今後は報告書や仕様書などをはじめとして,日々文章を書くことになると思います.めんどくさがらずにわかりやすい文章を書くように心がけましょう(筆者も耳が痛い).わかりやすい文章を書けば,他人に伝わりやすいだけでなく,未来の自分にも情報を伝えることになります.まわり回って自分の時間の節約になり,余った時間を自分のために使えるのです.
●最後に
設計書やプログラムを見ると設計者の人間性がわかるほど,設計は人に依存しています.人(技術者)の質を高めることが,製品の品質を高める方法の一つだと考えます.それには,小さなことを一つずつ積み上げることが重要です.それを続けることで,その人の信用も高まるのだと思います.
思うままに書き連ねましたが,少しでも読者のみなさんのお役に立てればと思います.
しゅくぐち・まさひろ
三菱電機マイコン機器ソフトウエア(株)
◆筆者プロフィール◆
宿口雅弘.1989年入社以来,内製のリアルタイムOSおよび周辺ソフトウェアの開発・保守・サポートに携わり,現在に至る.技術者には,技術だけでなく,「こころ」が必要と思っているが,「言うはやすし」を痛感している(自分自身の実践においても).SWEST(組込みシステム技術に関するサマーワークショップ)実行委員(http://www. ertl.jp/SWEST/).
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