インターネット・アプライアンスはどこまで進んだか ──ユーザはその「操作性」に歓喜し,設計者はその実現に苦悩する
●設計時には製品の使いかたの具体像を描く
ウェブ・タブレットの設計では,新しい技術や形態を取り扱います.このことから,ソフトウェアのベンダは,time-to-marketや顧客の要求に対して柔軟に対処できる包括的なパッケージを提供しようとしています.インターネット・アプライアンスの顧客としてCompaq社やソニーを抱えている米国Be社のvice president of business developmentであるTimothy Self氏は「当社は,顧客に単なるソフトウェアの山以上のものを提供したいと考えています.OEM先との作業では,ギブ・アンド・テイクの姿勢が欠かせないためです.OEM先の1社がこれを『リアルタイム・マーケティング』と呼んでいるのを聞いたことがあります.時間の経過とともに成長し,しかもエンド・ユーザはそのことをまったく気にしなくていいような機器にしたいと考えているのです」と話しています.
携帯型ウェブ・タブレットのほとんどは,ハード・ディスク装置を持たず,現在のところ,CDやフロッピ・ディスク,そのほかの取り外し可能な記憶装置用スロットもついていないものが大半です.このことが,インターネット・アプライアンスの機能の更新やトラブル・シューティングに際して,インターネットを介したソフトウェア・システムのリモート管理上の問題となっています.次世代バージョンの一部では,外部記憶装置用スロットがついているものも開発されると思われます.
1999年,Be社はNational Semiconductor社と共同で,National Semiconductor社のGeode WebPAD製造キットをもとに,すぐに量産に入れるリファレンス・プラットホームを開発しました.新しい「BeIA」OSは,同社の主力である「BeOS」モジュラ・オペレーティング・システムをもとに開発されています.BeIAはモジュール方式であることから,OEM各社はインターネット・アプライアンスのユーザ・インターフェースを自由にカスタマイズできます.OSは,インターネット機能を瞬時にONにしたり,起動や接続の待ち時間を減らしたり,TCP/IPプロトコル処理を実行します.また,x86とPowerPCの両方のプロセッサをサポートしています.BeIAはOperaブラウザ,HTML4.0,JavaScript,SSL 2.0/3.0,PersonalJava,RealNetworks RealSystem G2,ダイナミック・コードのローディングとアンローディング,圧縮ファイル・システム,USB(universal serial bus)の機能を備えており,さらに古い(レガシーの)周辺機器向けのシリアル・ポートやパラレル・ポートもサポートしています.