インターネット・アプライアンスはどこまで進んだか ──ユーザはその「操作性」に歓喜し,設計者はその実現に苦悩する

Anita S. Becker

tag: 組み込み

技術解説 2001年9月14日

●「操作性」の追求と設計の難しさ

 インターネット・アプライアンスの「シンプル」はうわべだけに過ぎません.コンピュータを使わない人にも簡単に操作できるその簡便さとは裏腹に,これらの機器を「シンプル」にしているハードウェアやソフトウェア,工業デザインは見た目よりも複雑です.

 ディスプレイやワイヤレス,電池の技術が必要とされるため,このような初期のワイヤレス・インターネット・アプライアンスの開発では,コストが引き続き重要な要素となっています.

 ハードウェアの面では,効果的でコスト効率の良いインターネット・アプライアンスを開発するため,アナログ部分とディジタル部分の統合が重要です.さまざまなインターフェースを組み合わせて,アナログの音声や光,タッチ信号などを'1'と'0'のディジタル信号へ変換しなくてはなりません.こうした変換が必要になるのは,機器が認識やデータの処理,保存を実行するためです.その後,これらのディジタル信号は,ユーザが知覚できる音声や画像などのアナログ信号に変換されます.

 現在開発中の携帯型ウェブ・タブレットのほとんどは,コンパクトな形態,タッチ・スクリーン方式,瞬時のインターネットへの接続と切断,きわめて短い起動時間,使いやすいGUI(graphical user interface),充電機能,近距離のワイヤレス通信など,共通した特徴を備えています.

 DT Research社やHoneywell社,IBM社,Samsung社などの大手メーカが採用している共通の基本設計は,National Semiconductor社の「WebPAD」であり,同社のGeode SC3200プロセッサで稼働します.この設計には,A-Dコンバータやハードウェア・モニタIC,OPアンプ,電力管理ICといった同社のアナログ部品も使われています.

 インターネット・アプライアンスが瞬時に信頼性の高いインターネット接続を行うには,機器にOSやWebブラウザ,Java,アプリケーション・ソフトウェア,ストリーミング・メディア・サービス,ワイヤレス・データ処理能力,32ビット以上のコントローラ,大容量メモリを組み込む必要があります.

 もともと携帯型インターネット・アプライアンスの開発では,小型で低消費電力,かつ高性能という要求があります.そこで,こうした要求を満たす最善策の一つとして,SOC(system on a chip)技術が注目されています.SOC技術を利用すると,機器全体のコストを削減できるかもしれません.これは,同じ機能を実現するときに必要とする部品数が少なくてすむためです.また互換性に伴う問題を抑えながら,信頼性と性能を高め,小型化と低消費電力を実現します.

 米国Triscend社は現在,インターネット・アプライアンスに照準を合わせた新しいタイプのSOCのカテゴリを提供しています.Configurable System-on-Chip(CSoC)は,業界標準のマイクロプロセッサとプログラマブル・ロジック,メモリ,専用システム・バスを組み合わせたLSIです.「A7」は同社の新しい32ビットCSoC製品ファミリです.A7では,ARM7TDMIプロセッサ・コアを内蔵する4品種のデバイスが用意されており,シャープが製造を担当しています.Triscend社の「E5」と呼ばれる8ビット・プロセッサ・コアを内蔵するCSoCシリーズは,1年以上前から出荷されています.

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