インターネット・アプライアンスはどこまで進んだか ──ユーザはその「操作性」に歓喜し,設計者はその実現に苦悩する
「今年は,National Semiconductor社のワイヤレス技術が同社のインターネット・アプライアンス技術と結びつく年でもあります」と語るのは,同社のbusiness unit director,Information Appliance DivisionであるMalcom Hamphrey氏です.また,次世代モデルでは,電力管理を強化し,低電力のCMOSプロセス(2V,ピーク電流25mA)や消費電力を抑えるSmart Radio技術(National Semiconductor社が米国innoCOMM社を買収して取得した技術に基づくもの),高集積のトランシーバ(外付け部品がほとんど不要)を採用すると,同氏は付け加えています.将来のWebPADは手書き文字や音声の認識,GSM(global system for mobile communications)モバイル通信,Bluetooth接続といった機能を持つことになるでしょう.
Transmeta社では,インターネット・アプライアンスに直接照準を合わせたマイクロプロセッサを出荷しています.533MHz動作の「Crusoe」は低消費電力プロセッサで,小さなスペースやバッテリ駆動機器で高い電力効率と高性能を発揮するように特別に開発されたものです.同時にx86命令セットとの互換性もあります.
Crusoeの命令セットはすべて,ソフトウェアの中に入っています.これは,コード・モーフィング・ソフトウェア(code-morphing software)と独自の128ビットVLIW(very long instruction word)プロセッサ・ハードウェアを組み合わせています.ソフトウェアはx86命令の'1'と'0'をシンプルなVLIWプロセッサの'1'と'0'に置き換えます.ハードウェアの規模の小さいソフトウェア・ベースのマイクロプロセッサの強みとしては,設計やデバッグが容易なこと,実行中にチップが熱くならないこと,インターネットを介してソフトウェアの更新が可能であることが挙げられます.インターネット・アプライアンス向けとしては,0.22μmルールのCMOSプロセスで製造する「TM3200(動作周波数400MHz,1次キャッシュ96Kバイト)」が入手可能です.今年(2001年)中には0.18μmルールの製品が発売になると予測されています.