インターネット・アプライアンスはどこまで進んだか　──ユーザはその「操作性」に歓喜し，設計者はその実現に苦悩する

●設計の中心は，やはりプロセッサ

　プロセッサは，インターネット・アプライアンスの心臓部分にあたります．2000年9月，National Semi- conductor社は，同社が「WebPAD-on-a-Chip」と呼ぶ新型のGeode SC3200シングル・チップ・プロセッサを発表しました（図4）．現在，量産されている32ビット，x86互換のGeode GX1 プロセッサは，最大動作周波数が233MHzで，MMX命令セットをサポートしていることが特徴です．インターネット上のプラグインやサーチ・エンジン，アプレットの大半は，業界標準のx86マルチメディア・アーキテクチャに基づいています．Geode SC3200の通常の動作条件での消費電力は2Ｗ以下とされています．

　新しいWebPAD Metro（128kbpsのRicochetモデムを備えている）は，Geode SC3200を中核としています．またWebPAD Metroは，Windows CE 3.0，Mobile Linux，BeIAの各OSと，それぞれに対応したInternet Explorer 4.0，Netscape，Opera4.0の各ブラウザをサポートしています．WebPAD Metroは，プラットホームに依存しないアプリケーションへのアクセスを実現するため，Java仮想マシン（JVM）を搭載しています．この機器はポータブルで，小型の8.4インチTFT液晶ディスプレイを搭載し，16ビット・フル・オーディオ・ステレオ機能を備えています．重量は3ポンド（約1.36kg）未満で，サイズも約7.8×9.6×1.1インチ（約19.8×24.3×2.8cm）です．プラグイン・ソフトウェアは，MP3（MPEG-1 Audio Layer 3）やほとんどの主な音声フォーマットをサポートしています．また，Microsoft社のMediaPlayer，米国RealNetworks社のRealPlayer G7，米国Macromedia社のFlash 4.0にも対応しています．

〔図4〕 Geode SC3200シングル・チップ・プロセッサ
National Semiconductor社の「Geode SC3200」．x86マルチメディア・アーキテクチャに基づいている．標準動作時の消費電力は2W以下．