携帯機器向け燃料電池とウルトラ・キャパシタの動向 ――充電1回で数万時間連続稼働も夢じゃない!?

Richard Nass 

tag: 組み込み

技術解説 2001年7月23日

●試行錯誤する研究者たち

 過去6ヵ月間にMotorola社の研究者は数々の燃料電池を作ってきましたが,どれも実用に耐えるものではありませんでした.製作されたものは,電池に燃料を供給する外部ポンプを使用しています.彼らは電池の心臓部となる膜電極アセンブリ(MEA:membrane electrode assembly)を製作し,燃料処理のためにマイクロ流体工学の技術も開発しました.何百時間も作動しているこれらの電池は,おもに性能試験や効率試験に使用されています.これらはまた,電池をどのくらいの大きさにする必要があるのか,どのアプリケーションに適しているのか,異なる温度や湿度条件下でどのように動作するのかなどの指標を得るのにも役立っています.

 今後取り組むべき重要な課題は,規制問題とシステムの安全性です.安全上の問題はないものと思われますが,それでも一連の厳しい試験,とくにUL(Underwriters'Laboratories Inc.),FAA(Federal Aviation Admini stration),DOT(Department of Transportation)の認定を得るための試験に合格しなければなりません.

 「バッテリ業界はつねに,より信頼性の高い,安全な電池を設計しようと努力しています.同時に,Wh/lでみたエネルギ密度の向上も追求しています.この二つの要件はある程度互いに相反するものです.安全面 から見て,エネルギ密度が高いときの化学作用は不安定になりやすいのです」と米国Raychem社(カリフォルニア州Menlo Park)のmarketing directorである Frank Owen氏は語っています.

 Raychem社などの回路保護デバイスのメーカは,さまざまな製造技術を使った各種のリチウム・ポリマ電池が存在しているという事実を認識しなければなりません.また回路保護の観点から見れば,リチウム・ポリマ電池とリチウム・イオン電池の間には大きな違いがあります.

 Raychem社は,過電流と過充電の両方に対する保護を実現するリチウム・ポリマ電池用のポリマ正温度係数再設定デバイス(PPTC:polymeric positive tempera- ture-co-efficient re-settable device)を提供しています.この薄いデバイスは電池のすぐ近くに装着できるように設計されており,過熱(たとえば内部電池の異常や過充電により引き起こされる過熱)による影響を検知できます.

 Raychem社の新製品であるポリ・スイッチPPTCのVLR230,VLR170は,それぞれわずか5mm×12mm,3.6mm×10mmという外形寸法です.これらの部品はリチウム・イオン電池パック用に開発されたもので,15mΩの直列抵抗を実現しています.ショートあるいは過充電が起こった場合,これらの部品はサイクル動作を停止します.不具合が解消され,電力が除去された後,リセットを行い,高抵抗トリップ状態になります.

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