スマート・ハウスからスマート・コンセントまで,スマート・エネルギー関連のデモが続々 ―― Embedded Technology West 2011

Tech Village編集部

tag: 組み込み 電子回路

レポート 2011年7月15日

 2011年6月16日~17日の2日間,インテックス大阪(大阪市住之江区)にて組み込み技術についての展示会「Embedded Technology West 2011(組込み総合技術展 関西)」が開催された(写真1).これは毎年11月下旬ころにパシフィコ横浜(横浜市西区)で開催されている「Embedded Technology」の関西版で,2006年から開催されている.

 今年3月に発生した東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の事故の影響か,今回はスマート・エネルギーや環境発電,省電力などに関連する展示が目立っていた.来場者数は2日間でのべ4,963名.主催は社団法人 組込みシステム技術協会(JASA)


写真1 会場入口の風景

 

 

 

●福岡スマートハウスコンソーシアムが多数のデモで活動をアピール

 福岡スマートハウスコンソーシアムのブースでは,多数の会員企業がスマート・エネルギー関連のデモンストレーションを実施した.福岡スマートハウスコンソーシアムは,エネルギー関連機器の開発やシステム構築を行っている企業と大学などが集まった組織で,福岡市が提供するレンガ住宅でスマート・ハウスの実証実験を行っている.家庭内のエネルギー制御,エネルギー管理の見える化,モデル・ベース開発による開発効率の向上などに取り組んでいる.

 2011年6月14日には,福岡スマートハウスコンソーシアムの参加企業と横浜市の企業,学術団体などを中心に,横浜市の協力を得て「横浜スマートコミュニティ」が設立されている.複数の家が情報交換しながら,それぞれが持つエネルギーを相互に融通し合えるスマート・コミュニティの実証実験を行うという.

 パルテックは,福岡スマートハウスコンソーシアムのブースで,太陽電池の出力電力を模擬発生させるリアルタイム・パワー・コントローラのデモンストレーションを行った(写真2).このシステムを利用すると,例えば日射量に応じて最適な条件で電力を供給する太陽光発電システムを短期間のうちに開発できるという.デモンストレーションには,スマートエナジー研究所とドイツのdSPACE社が共同開発したモデル・ベース開発キット「Power SEL 200」,およびdSACE社のFPGAボード「DS5203」,AMD Opteron(クァッドコア)ボード「DS1006」などを利用した.


写真2 パルテックのリアルタイム・パワー・コントローラのデモンストレーション


 このシステムでは,米国The MathWorks社MATLABで制御モデル(アルゴリズム)を作成し,シミュレーションによって太陽電池用DC-DCコンバータの電力最適点(MPPT:Maximum Power Point Tracking)を検出する.一方,作成した制御モデルからSimulinkを利用してHDLコードを生成し,これをFPGAボードに実装する.HILS (Hardware in the Loop Simulation)環境を構築し,パラメータを変更しながらGUI上でリアルタイムに検証結果が確認できる.さらに,実機の出力とシミュレーション結果を比較して,制御モデルが妥当であるかどうかをチェックした.

 村田製作所は,福岡スマートハウスコンソーシアムのブースで,環境発電(エネルギー・ハーベスティング)のデモンストレーションを行った.ドイツEnOcean社の無線モジュールを利用してバッテリレスのセンサ・ネットワークを構成した.計測の状況はパソコンとタブレット型端末に表示した(写真3).


写真3 バッテリレス・センサ・ネットワークのデモンストレーション

 

●MSP430マイコンをスマート・メータや環境発電向けとして展示

 日本テキサス・インスツルメンツは,同社の低消費電力マイコン「MSP430」がスマート・メータや環境発電に利用できることをアピールした.例えば単相,2相,3相のそれぞれに最適化した電力メータ用のMSP430マイコンを用意しているという.また,環境発電アプリケーション向けとして,太陽電池パネルを搭載した開発キットや評価ボード,無線センサ・モジュールなども展示した(写真4).


写真4 日本テキサス・インスツルメンツが展示した環境発電関連のモジュールやボード


 さらに同社は,2.4GHzのZigBee規格に対応したLSI「CC2530」を搭載した開発用モジュールと,シングル・モードBluetooth low energy規格に対応したLSI「CC2540」を搭載した開発用モジュールを展示した(写真5).これらのチップの間にはピン互換性があり,容易に差し替えられるという.Bluetooth low energyは,Bluetooth v4.0で採用された低消費電力版のBluetooth規格.接続インターバルが可変になっており,必要なときに必要な時間だけ接続する.例えばコイン電池を使うアプリケーション(リモコン,健康機器など)や環境発電のアプリケーションに利用できるという.


写真5 ZigBeeやBluetooth low energyに対応した開発用モジュール


 このほか,電力計測を行うスマート・プラグの展示も行った.これはキヤノン電子が開発したもので,MSP430マイコンを搭載している(写真6).このスマート・プラグはコンセントに挿して利用する.Ethernetポートを備えており,LANケーブル経由で計測した電力消費量のデータをパソコンなどに転送できる.


写真6 キヤノン電子が開発したスマート・プラグ

 

1  2  »
組み込みキャッチアップ

お知らせ 一覧を見る

電子書籍の最新刊! FPGAマガジン No.12『ARMコアFPGA×Linux初体験』好評発売中

FPGAマガジン No.11『性能UP! アルゴリズム×手仕上げHDL』好評発売中! PDF版もあります

PICK UP用語

EV(電気自動車)

関連記事

EnOcean

関連記事

Android

関連記事

ニュース 一覧を見る
Tech Villageブログ

渡辺のぼるのロボコン・プロモータ日記

2年ぶりのブログ更新w

2016年10月 9日

Hamana Project

Hamana-8最終打ち上げ報告(その2)

2012年6月26日