携帯機器向け燃料電池とウルトラ・キャパシタの動向 ――充電1回で数万時間連続稼働も夢じゃない!?
●PDAと相性がいい
電池そのものは無限に稼働させることができます.燃料の供給が維持されているかぎり,動作し続けます.研究室で何千時間にもおよぶ試験を行った後でも,動作の品質低下はきわめて軽微でした.メタノール自体は1ガロン1ドル未満なので燃料費は安くなります.燃料電池の原価の大半は,包装費および流通 費となるでしょう.
燃料電池が実用になるのは,再充電が可能なバッテリと組み合わせて使う場合です.残念ながら燃料電池は,携帯電話のように供給する電流の量 が変化する機器には不向きです.携帯電話は,スタンバイ・モードではきわめて微小な電流しか消費しません.しかし通 話状態になると,電流量は大幅に上昇します.
そのため,バッテリを携帯電話の主電源とした場合,燃料電池はバッテリを一定電流で充電するためにのみ使われます.一般 的な携帯電話は,通話時に1Wか2Wの電力を必要とします.しかし大半の時間を占めるスタンバイ・モードでは,0.1W以下しか必要としません.燃料電池の組み込みには,PDAのほうがより適しているものと思われます.PDAは携帯電話ほど平均電力レベルや最大電力レベルが変動しないためです.