組み込み技術者のための資格試験,傾向と対策(5) ―― 直前対策! 情報処理技術試験特別号

久保 幸夫

tag: 組み込み

コラム 2011年2月 4日

 おかげさまで,当コラムも多くの方にご愛読いただき,ありがとうございます.また,読者の方から,試験に関する質問もいただいております.ちょうど,平成23年4月17日(日)に実施される情報処理技術試験の願書の受け付けが,1月17日から開始されています.そこで今回は,情報処理技術試験の願書の受け付け時期によくある質問(Frequently Asked Questions;FAQ)を紹介したいと思います.

●情報処理技術試験(春期)の申し込み受け付けは2月中旬まで

 最初に,情報処理技術試験(春期)の概要を示します.なお,詳細は情報処理技術試験センターのWebサイトを参照してください.

 春試験の試験区分は以下の通りです.

  • ITパスポート試験(IP)
  • 基本情報技術者試験(FE)
  • 応用情報技術者試験(AP)
  • プロジェクトマネージャ試験(PM)
  • エンベデッドシステムスペシャリスト試験(ES) など

 実施日は平成23年4月17日(日)ですが,申し込み期間は平成23年1月17日(月)10時~2月22日(火)20時です(個人がインターネットで申し込む場合).ただし,ITパスポート試験と基本情報技術者試験については,2月23日(水)20時まで受け付けています.また,郵送で申し込む方法もありますが,受け付け期間が異なりますので,試験センターのWebサイト(平成23年春試験の案内ページ)で確認してください.

 ここでは,組み込み系のエンジニアが受験を考えることが多い,基本情報技術者試験(FE)や応用情報技術者試験(AP),エンベデッドシステムスペシャリスト試験(ES)を中心に取り扱います.

●「基礎練」不要? なら過去問にチャレンジ

 まずは,どの試験を受ければよいのか? という,受験の選択に関するFAQです.

Q1 組み込み系のソフトウェア・エンジニアです.初めて情報処理技術者試験の受験を考えていますが,どれを受験するのがベストでしょうか? 組み込み系なので,エンベデッドシステムスペシャリスト試験の合格を目指しています.

 情報処理技術試験の体系では,レベル1のITパスポート試験(IP)からレベル2の基本情報技術者試験(FE),レベル3の応用情報技術者試験(AP),そしてエンベデッドシステムスペシャリスト試験(ES)などのレベル4の高度試験へとステップアップしていく構成になっています(図1注1.そのため,情報処理技術試験の受験が初めてなら,エンベデッドシステムスペシャリスト試験(ES)の受験の前に,基本情報技術者試験(FE)か,応用情報技術者試験(AP)から受験することをお勧めします.

注1:情報処理技術試験に関しては,本連載の2回目3回目を参照いただきたい.

図1 情報処理技術試験のステップアップ

 


組み込みソフトウェアもソフトウェアの一種ですので,一般的なITの知識が必要です.基本情報技術者試験(FE)や,応用情報技術者試験(AP)の受験対策を通して,テクニカル系以外にも,マネージメント(管理)系,ストラテジ(経営戦略)系に関することなどIT全般に関するバランスの良い基礎知識を身に付けることができます.いわば,基礎体力を身に付ける「基礎練」です.

 「基礎練からなんて,やってられない」,「基礎体力には自信がある」と,エンベデッドシステムスペシャリスト試験にいきなりチャレンジしたい方は,まず,試験センターのWebサイトで公開されている過去の応用情報技術者試験の午前問題80問を解いてみて,半分以上得点できるか試してみてください.

 「エンベデッドシステムスペシャリスト試験なのに,なぜ,応用情報技術者試験の午前問題なの?」と思われるかもしれません.エンベデッドシステムスペシャリスト試験の午前Ⅰ試験は,ほかの高度試験と共通の内容で,ITに関する幅広い分野から出題されます.90分で30問を解く必要があるのですが,実は,過去に出題された午前Ⅰの30問は,応用情報技術者試験の午前問題80問からの抜粋なのです(図2).

図2 エンベデッドシステムスペシャリスト試験対策には応用情報技術者試験の午前問題が有効


エンベデッドシステムスペシャリスト試験などの高度試験の場合,午前Ⅰで6割以上の得点が取れないと,いわゆる「足切り」に引っかかってしまい,そのあとの午前Ⅱや午後の試験を採点してもらえません.現実には,エンベデッドシステムスペシャリスト試験の受験者のうち,残念ながら5割弱が最初の関門である午前Ⅰで落ちているのが現状です.そのためにも,午前Ⅰ対策も十分に行う必要があります.

 応用情報技術者試験の午前問題80問を解いてみて,5割以上得点できるのであれば,あと少し午前Ⅰの対策勉強をすれば,6割のボーダーラインを楽に突破できることでしょう.もちろん,現状で5割に満たなくても,努力すれば6割のボーダーラインを突破することは可能です.でも,急がば回れで,応用情報技術者試験から受験するのも手かと思います.応用情報技術者試験の午前問題は幅広い分野からまんべんなく出題され,午後も良い問題が出題されることが多いので,高度試験の基礎体力を身に付けるためにもお勧めできます.

 また,応用情報技術者試験の午前問題80問を解いてみて,3割以下の得点なら,基本に立ち戻って,基本情報技術者試験(FE)からの受験をお勧めします.基本情報技術者試験の午後試験には言語の問題もあります.C言語,Java言語,アセンブラ(CASL)などから選択できるので,得意な言語で受験できます(平成21年以降は表計算も選択できる).また,将来的にエンベデッドシステムスペシャリスト試験合格を目指している人で,まだ言語を習得していない人や,コンピュータの仕組みをしっかりと理解したい人は,アセンブラをお勧めします.マシンに一番近い,アセンブラ・レベルのプログラミングを学ぶことで,プロセッサの動作を理解することができます.これは,組み込みシステムのプラットフォームの理解の基本となります.

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