1+1を10にする「チーム力」養成講座 ―― 意見を戦わせより良い成果を生み出そう

穴田啓樹

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技術解説 2007年9月14日

● その6:対立を恐れず,より良い発想を求めること

 会議で「間違っていたら恥ずかしい」,「こんなことを言うと雰囲気が悪くなるんじゃないか」と感じたことのある読者はいませんか.そのようなときは,何に意識が向いているでしょうか.

 人に意識が向かうと感情が生まれ,伝えにくくなります.コミュニケーションの目的を思い出しましょう.会議の目的は,より良い発想を生み出すこと,課題,問題を解決することです.そのために,意見に意識を向けて,意見同士を戦わせるのです.「自分はより良い結果を生み出したいのだ」.会議ではいつもこのことを思い出しましょう(コラム「意見の衝突が成果につながった合同新人研修」を参照).

 なお,そのように安心して意見を戦わせる雰囲気(場)を作るのが,リーダの役割になります.

● その7:柔軟でいること

 開発チームの中には多様な考え方を持つメンバがいるでしょう.あなたは,もし自分と異なる意見に触れたとき,どのように反応するでしょうか.

 もし,その意見を拒否してしまっていたとしたら,それはもったいないことをしています.新しい考えに触れたときには,その善しあしを判断する前に,まずは受けとめてみましょう.人は善しあしを判断すると,その判断に従って考える傾向があるので,情報の解釈を誤る可能性があるからです.

 どんな意見でも,「もしかしたら参考になるところがあるのではないか」と素直に考えられると,より豊かな発想ができるようになります.多様な意見を受けとめるようにしましょう.

3 チーム開発をリードする

 ここでは入社5年目以降のエンジニアの皆さんを対象に,チーム開発を促すことについて考えます.入社して5年もたつと開発チームのリーダを任され,立場の変化に戸惑う方もいるでしょう.ここで5分ほど時間をとり,これまでの開発の場面を思い出しながら振り返ってみてください.

 あなたが自分の仕事に専念できていたとき,周囲の人はあなたにどのようにかかわっていたでしょうか.逆に,仕事に集中できなかったとき,何があなたを妨げていたのでしょうか.ここでは,チームの力を発揮するために筆者が最も心がけている七つの項目を紹介します.

● その1:場を感じること,場を作ること

 リーダの最も重要な役割は,場を感じ,場を作ることです.まず,「場を感じる」ことから始めます.一人一人のメンバが発する言葉の意味,声の調子,表情,姿勢から,職場を見て漠然と感じることまで,あらゆることやあらゆる変化を敏感に感じ,洞察しなければなりません.そこから感じることは開発の行方に何らかの影響を与え,何らかの意味を持っているからです.

 「場を感じる」というと難しいことのように思えますが,プロジェクトのことを深く考え続けること,チーム・メンバに対して強い関心を持ち,集中して会話していくことで,徐々に感じる能力が高まってくるのです.

 次に,「場を作る」ことですが,これはメンバからの信頼の上に成り立ち,リーダとしてのメンバへの影響力から生まれるものです.信頼を築くのは時間がかかるものですが,チーム・メンバに関心を持つことや個々のメンバが一緒に働く意味を考えることから始めましょう.個々のメンバは現在,チームに対してどのような影響を与えているでしょうか.これから共通の目標を達成するために,どのような力を発揮し得るでしょうか.また,どのような状況で力を発揮しやすいのでしょうか.

 また,チーム・メンバ同士が互いの価値観を共有できる機会を設けましょう.例えば,不具合を解決していく過程で,個々のメンバが普段は何に重点を置いて原因を調査しているか,不具合を作り込まないように何に気を付けているかなど,一人一人に意見を求めます.お互いに大切にしていることや判断基準を知ることによって,チーム・メンバを尊重する雰囲気を作り上げるのです.

 そのようにチーム・メンバが安心して力を発揮できる場を提供できるリーダには,自然と信頼感がついてきます.

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