1+1を10にする「チーム力」養成講座 ―― 意見を戦わせより良い成果を生み出そう

穴田啓樹

tag: 組み込み

技術解説 2007年9月14日

● その3:伝達する目的を明確にすること

 コミュニケーションには目的があります(図3).なぜ相手に情報を伝えるのか.この「なぜ」の深さが浅い段階で情報を発信すると,受け手は困惑します.

zu03_01.gif
図3 「伝える目的」を伝えることが重要

 例えば,あなたが開発リーダに「xxxの新しいアルゴリズムを考えました」と技術的な詳細を延々と報告したとしましょう.リーダは,あなたが新しい案を考え出したことは評価するかもしれません.しかし,その案に関心がなければ話はそこで終わってしまいます.それどころか,忙しくて時間のないときは最後まで聞いてもらえないでしょう.

 あなたは,なぜそれを伝えたかったのでしょうか.もし,あなたが「新しいアルゴリズムを評価する時間が欲しい」のであれば,「承認してほしい」というコミュニケーションの目的を伝えなければならないのです.

 この例の場合なら,報告の冒頭で「新しいアルゴリズムの評価を承認していただきたいので」と,話の目的を伝えるのです.最初に目的を伝えるだけで,その後に続く技術的な内容をスムーズに伝えることが可能になります.

● その4:事実と意見を区別すること

 次の三つの文章の違いを考えてください.

1)それは...です.
2)それは...だと思います.
3)それは...だと考えられます.

 普段,これらの言葉の違いを意識せずに使っているとしたら,あなたはチーム・メンバを困惑させたり,誤った情報に振り回されたりしているかもしれません.なぜならば,情報の正確さが異なるからです.1)はより事実である可能性が高く,2)と3)は意見にすぎません.

 開発上の課題を解決する道筋を考えるにあたり,起点にする情報を誤ると,ゴールに到達できません.ですから,情報を受け取ったら,まず,それは事実なのか意見なのか,さらに,誰が言っていることなのか,根拠はあるのかなどを確認しましょう.

● その5:理解を確認すること

 人が外界から情報を得てから理解するまでの過程は,図4のモデルで考えることができます.チーム開発を進める上で気を付けなければならないのは,すべてのチーム・メンバが同じ復号器を持っているわけではない,ということです.打ち合わせで同じ話を聞いたり,同じドキュメントを見たりしても,理解の程度がおのおののチーム・メンバで異なる可能性があるのです.

 ですから,自分が理解したと思っていることを,必ず相手に確認しましょう.何か説明を受けたときには,自分なりに解釈して,それを自分の言葉で相手に説明してみましょう.その説明についてチーム・メンバに聞いてもらい,理解が正しいかを確認します.このサイクルを繰り返すことによって,お互いの理解が近づいていくのです.

zu04_01.gif
図4 情報の受け取り方や伝え方には個人差がある
情報を伝える際や受け取る際には,その人固有の解釈が入る.

組み込みキャッチアップ

お知らせ 一覧を見る

電子書籍の最新刊! FPGAマガジン No.12『ARMコアFPGA×Linux初体験』好評発売中

FPGAマガジン No.11『性能UP! アルゴリズム×手仕上げHDL』好評発売中! PDF版もあります

PICK UP用語

EV(電気自動車)

関連記事

EnOcean

関連記事

Android

関連記事

ニュース 一覧を見る
Tech Villageブログ

渡辺のぼるのロボコン・プロモータ日記

2年ぶりのブログ更新w

2016年10月 9日

Hamana Project

Hamana-8最終打ち上げ報告(その2)

2012年6月26日