1+1を10にする「チーム力」養成講座 ―― 意見を戦わせより良い成果を生み出そう
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自己紹介ワークショップ
チーム開発の原動力はチーム・メンバの多様性,多様な発想にあります.それを開発力につなげるには,まず,チーム・メンバにそのことを気付いてもらうことから始めます.そのきっかけの作り方の一つとして「自己紹介ワークショップ」(図A)を紹介します.例えば,新しいチームを立ち上げるにあたりチーム・メンバが初めて集まったときや,プロジェクトの節目節目に実行します.
進め方は簡単です.参加者が持ち回りでテーマを決めながら,そのテーマについて全員が自分の意見を述べるのです.進め方のルールとしては,ただ相手の意見を受けとめることです.放っておくと議論が始まるので,参加者が安心して発言できるように,場を守る役割の人を設けます.
過去に,組み込み業界のコミュニティ「組込みシステム技術に関するサマーワークショップ(SWEST)」において実践したところ,まさに多様な意見が飛び交いました(3).
図A 自己紹介ワークショップ
持ち回りでテーマを決め,そのテーマについて一人一人が思いや考えを述べる.ほかのメンバの発言に対して意見しないこと.議論せず,ただ受け止める.
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考えるスタイルを使い分ける
打ち合わせをしていて,意見が出ないときや,なかなかまとまらないときは,考えるスタイルを意識して使い分けましょう.ここでは二つのスタイルを紹介します.
・発散と収束
会議で意見がまとまらないことがあると思います.そのようなときは,意見を出す時間(発散)と,意見をまとめる時間(収束)に区切り,頭のスイッチを切り替えて進めましょう(図B).発散と収束,それぞれの活動に集中することで,効率的に進めることができます.このとき,進行を守る役割を設けて,メンバが内容に集中できるとスムーズに進めることができます.
・考えるのに適した人数
チームで意見を出し合うときでも,まずはメンバ一人一人が考え,独自の意見を持つことから始めます.そして,その意見をより理解しやすくしたいときには,ペアを組み,相手にその意見を説明して,相手の理解を確認しながら推敲します.また,意見をよりふくらませたいときには3人で議論します.
昔から「三人寄らば文殊の知恵」とことわざで言われるように,また経験的に,3人は知恵を出し合うのに適した人数のようです.これが2人だと行き詰まることが多かったり,逆に4人以上になると議論に参加しない人が現れたりします.また,より多様な意見を出したいときには,3人のチームを複数作って議論すると効果的です.
図B 発散と収束
時間を区切り,まずは意見を出し尽くすのに集中する(発散).その後,意見を分析・整理してまとめることに集中する(収束).