模型ロケット打ち上げプロジェクト「Hamana-3」における安全対策 ――「確実に安全に」を実現するためのプロジェクト推進

大西秀一

tag: 組み込み

技術解説 2007年1月31日

2) 過去の資料を必ず参考にする

 ロケットは,流体力学,重力運動などさまざまな視点から研究されてきています(物理学の結晶であると言ってもよいかもしれない).模型ロケットも模型とは言え,きちんと設計されたものでなければ,十分な成果を得ることはできません.そこで筆者は,新入社員に対して,過去に作ったロケットを参考にしなさい,参考書をよく読みなさいと指示を出しました.以前(Hamana-2のとき),特に指示を出さずに模型ロケットを作成させたら,全く飛びそうにないロケットを作成してきたことがありました.それからは,必ず過去の資料に当たってから設計させるようにしました.

 過去の失敗事例からは非常に多くのことが学べます.例えば模型ロケットの重心がロケット本体の中心に位置していなかったために,真上に打ち上がらず,いびつな軌跡を描いて打ち上がった経験があります.そこから,模型ロケットは重心の設計が非常に重要であるということを学びました.そのほかの例として,指導者が事前に重量超えやアンバランス,ロケットの密閉が不十分などの条件で打ち上げ実験を行いました.このような過去の事例を参考にすることで,事前にその危険性を察知することができます.

 筆者らはこのような事例を作成,記録するために,打ち上げ前の準備として以下の作業を実施しました.

  • 打ち上げスケジュールに沿った打ち上げ実施
  • 担当者分けの徹底(全体指揮者の擁立)
  • 各種パラメータの計測(後述のロスト対策につながる)

 これらの作業を打ち上げごとに計画し,打ち上げの記録を蓄積しました.また,ビデオ・カメラなどの記録を利用した反省会を実施することで,より安全な打ち上げ計画を作成できるようになりました.

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