模型ロケット打ち上げプロジェクト「Hamana-3」における安全対策 ――「確実に安全に」を実現するためのプロジェクト推進
● 安全を確保できたか?
結果から言えば,Hamana-2,Hamana-3という過去2年間の打ち上げにおいて,重大な人身事故は起こりませんでした.模型ロケットのロスト(遺失)は,Hamana-2のときに2件発生しています.しかし,Hamana-2で得た経験が生かされたためか,Hamana-3ではロストはありませんでした.
模型ロケット自体が安全に設計されているので,基本的には模型ロケット安全コードを順守すれば,安全な打ち上げが可能だと思います.さらに,過去の経験を生かすことで小さなミスを減らすことができ,小さなミスをなくすことで重大な事故の発生をより確実に抑止できるのではないでしょうか.筆者はHamana-3に参加して,「安全に実施するには,当然と思っていることを再度確認する慎重さや,過去の経験を現在にフィードバックしていくことが重要だ」と感じました.
当社の取り組みが十分であったかまだ評価できていませんが,企業として安全に実施するという要求に対しては満足できる対策ができたと思います.今後も同様の活動を進めていく上でも安全という言葉は常に近くにあると思います.ノウハウの蓄積や,明確なルール化などを今後も継続していく予定です.
参考・引用*文献
(1)Hamana-3プロジェクトについての説明,http://www.ertl.jp/SWEST/Surveyor/Hamana-3/
(2)米国ロケット協会のWebサイト,http://nar.org/
(3)Model Rocket Safety Code,http://nar.org/NARmrsc.html
(4)渡邉友裕,杉山 歩,沼田亜美,後藤孝一,京井真之;新人研修は「模型ロケット」<<新人技術者編>>,Design Wave
Magazine,2006年6月号,pp.30-42,CQ出版社.
(5)大西秀一,服部博行;新人研修は「模型ロケット」<<指導者・管理者編>>,Design Wave Magazine,2006年6月号,pp.43-49,CQ出版社.
おおにし・しゅういち
(株)ヴィッツ
<筆者プロフィール>
大西秀一.教育大学卒業後,組み込みソフトウェアの会社に入社した変わり者.入社後マイコンの存在を知り,任天堂ゲームボーイアドバンスの自作プログラミングで,マイコンの機能に関する勉強やC言語を使ったプログラム,RTOSの移植などを経験.その後,情報家電や自動車制御部品関連のミドルウェアなどの開発を経験し現在に至る.現在は会社内の研究や新人研修の実績を外部に発表するかたわら,これらの研究成果の有効活用方法を模索中.