電気電子製品の環境規制に関する最新動向 ――世界に広がる環境規制は情報の共有化や分析手法の標準化で乗り越える
(2) 日本もEUのRoHS指令施行に合わせJ-MOSSを施行
RoHS指令に準じる環境規制は,EUだけでなく世界中に影響を与え,各国で類似した規制が次々に出てきています.このようなことから,EU向け製品にだけ対応すればよいというのではなく,環境に対し全世界的に対応するという姿勢が必須となってきています.
日本でもEUのRoHS指令施行に合わせて,規制強化や法改正などが行われます.具体的には,J-MOSSと呼ばれているJIS規格が,2005年12月20日に情報開示の規定として制定されました.正式名称は「電気・電子機器の特定の化学物質の含有表示方法」で,国内で販売される電気製品において化学物質の含有表示を標準化したものです.制定の趣旨は,電気電子機器に含まれる特定の化学物質の含有表示方法を標準化することによって,サプライ・チェーンおよびライフ・サイクル各段階の事業者における特定の化学物質の管理の改善を促進するとともに,一般消費者の理解を容易にし,資源の有効な利用および環境負荷の低減を図り,適切に管理された電気電子機器をより普及させることを目的としています.
対象となる電気製品は,1)パーソナル・コンピュータ,2)ユニット形エア・コンディショナ,3)テレビ受像機,4)電気冷蔵庫,5)電気洗濯機,6)電子レンジ,7)衣類乾燥機,の7品目です.対象となる物質や最大許容濃度はRoHS指令と同じになっています.施行は2006年7月1日からとなっています.この対象7品目において,6物質が指定の基準値を超えて含有されている場合は,機器本体および機器の包装箱,カタログ類へ図1(a)のような含有マーク(Rマーク,オレンジ色)を表示することが義務付けられています.また,6物質の含有が基準値以下の場合は,図1(b)のような非含有マーク(グリーンマーク,緑色)を任意で表示できます.なお,表示に際しては,表示方法を定めたJIS規格(JIS
C 0950)を順守する必要があります.
図1 J-MOSSの表示
グリーンマークは電子情報技術産業協会が商標出願済み(商願2005-081039).