電気電子製品の環境規制に関する最新動向 ――世界に広がる環境規制は情報の共有化や分析手法の標準化で乗り越える
WEEE指令とRoHS指令の違いを簡単に説明します.RoHS指令は有害物質を含んだ製品を市場に入れないようにするためのもので,製品を製造,販売する場合に影響を受けます.WEEE指令は廃棄する電気電子機器の分別回収や再利用,リサイクル,処分,処理のためのもので,消費者が機器を手放した後に影響を受ける内容になっています.
EUは独自の法体系を持っており,EU理事会とEU委員会が制定する法令は五つに分類され,拘束力の強い順に規制(regulation),指令(directive),決定(decision),勧告 (recommendation),意見(opinion)となっています.RoHSはこの中で2番目に拘束力の強い指令です.EU指令は発行されてもそのまま効力を発揮するのではなく,EU加盟国の国内法への落とし込みと施行は加盟各国に委ねられることになっています.加盟国によっては,RoHS指令よりも厳しい国内制定がありえるので注意が必要です.
もし,RoHS指令違反が出た場合,どのような影響がでるのでしょうか.企業のブランド・イメージが著しく傷つくことはもちろん,各国内法に基づいた罰則を受けることになり,最悪,出荷停止や回収になることも考えられます.
環境先進国であるオランダでは,RoHS指令より早い1999年から,プラスチックに含まれるカドミウムの含有量を0.01%(100ppm)未満に規制していました.2001年10月に,ある日本の電気製品から規制値を超えるカドミウムが検出され,税関で輸入を禁止し,部品交換を迫った事例もあります.