マルチプロセッサで実現したH.264ビデオ・デコーダ ――コンフィギャラブル・プロセッサのユーザ定義命令とオンチップ・バスを活用

東原朋成

tag: 組み込み

技術解説 2006年8月31日

 ネットワークとしては,従来,バス構造がよく使われてきました.ARMコアのAMBAバスなどがよく知られています.

 バス構造では,複数のブロックからのバス・アクセスを調停しなければなりません.そこでアクセス遅延の問題が生じます.調停によってバス・アクセスが待たされると,ハードウェアのクリティカルな性能制約を満たさない,ソフトウェアの実行が遅くなるといった問題に直面します.また,プロセッサ間でデータを共有することを考えると,バス上のデータ転送量が増大します(図5)

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図5 データ・バスのオーバヘッド
複数のプロセッサ間でデータを共有すると,ネットワーク・アクセスが増大する.また,外部メモリなどのアクセスも発生する.したがって,バスのバンド幅やレイテンシが性能を左右することになる.

 データ共有には別の側面の問題も生じます.キャッシュ・メモリを搭載するプロセッサで起こるデータの一貫性の問題です.

 鉄道を例に,ネットワークを考察します.鉄道サービスでは,需要の増大などに対応するために,まずはスケジュール(ダイヤ)を見直し,快速や急行電車の増発の可能性を検討します.合間合間に普通電車をうまく配置することで輸送量の増大と遅延(目的地までの時間)を最適化しようとします.快速電車を増発させすぎると,普通電車の遅れがひどくなり,乗客のニーズを満たさなくなるので,おのずと制限があります.また,車両のくふうにより(例えば座席を減らす)さらなる輸送量の増大を図ろうとします.オンチップ・ネットワークの観点から考えると,これはアービトレーションのくふう,バースト・モードの導入など,ハードウェアの規模にあまり影響を与えないでデータ転送処理能力を上げようとすることに相当します.

 鉄道輸送量のさらなる増大には,複々線化,並行して走るバイパス路線の導入といった対策があります.同様のことがオンチップ・ネットワーク設計においても検討されます.遅延の問題は例えばう回路になっていた駅間を接続するなどの新たな路線を設けるといった対策があります.これは例えば,メッシュ構造のネットワークを設計することに相当します.

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