組み込みシステム設計者のためのLIN2.0マイコン実装術(前編) ――プロトコル仕様を正しく読みこなすコツ
2.プロトコル詳細
――フレームの構成と種類
次に,本仕様群の中核である"Protocol Specification(LINプロトコル詳細)"について,重要なポイントを説明します.
● 信号の型はスカラ値かバイト配列のいずれか
第1章の"SIGNAL MANAGEMENT"は,信号について記述しています.
LINではしばしば信号(signal)ということばが登場します.この場合,信号は「LINフレームによってやりとりするデータ」のことを言います.各信号は一つの送信者によって送信され,ゼロ個以上のノードがこれを受信します.
信号の型は,スカラ値かバイト配列のいずれかと規定されています.スカラ値は1~16ビットの長さとされ,実際にAPIではbool(1ビット),u8(符号なし8ビット),u16(符号なし16ビット)の3種類が扱えるようになっています.
信号の一貫性についても定められており,たとえ信号の一部だけが変更された場合でも,データとしてすべて転送する必要があるとしています.つまり,信号のどこが変更されたのかを受信ノードのアプリケーションが判断しなければならないわけです.
実際の信号の並べかたは,LSB(least significant bit)から,配列は要素ゼロから昇順と規定されています.