組み込みシステム設計者のためのLIN2.0マイコン実装術(前編) ――プロトコル仕様を正しく読みこなすコツ
本稿では,ネットワーク・プロトコル規格「LIN(local interconnect network)2.0」について解説する.LINはボディ(車体)系の比較的低速なネットワークを低コストで実現するために策定された規格だが,こうした特徴を家電機器に採用しようという動きがある.本稿では,今回の前編と次回の中編でプロトコルの詳細を,後編でソフトウェアの開発事例を紹介する.今回は,とくに仕様書ではあいまいな部分を中心に,プロトコルについての理解を深める. (編集部)
LIN(local interconnect network)プロトコルは,1999年に最初のバージョン(バージョン1.0)が発表されました.2003年にはバージョン2.0(LIN 2.0)の仕様が公開されました.これに伴い,国内でもとくに欧州の自動車メーカ向けに半導体・電装製品が開発されるようになりました.ISO標準化への取り組みも行われています.
また,LINは小規模で,標準化されたネットワーク・プロトコルとして,民生・家電分野への展開も検討されています(図1).車載関連以外の組み込みシステムの開発に携わる方も,一度LINの仕様に目を通してみてはいかがでしょうか.
LINプロトコルの概要についてはこれまでも本誌記事で解説されていますが,今回は実際にマイコンでLINを扱う場合を想定し,その技術的ポイントを解説します.
図1 LINの応用分野
冷蔵庫,洗濯機などの家電から自販機類に至るまで,パネル部やメカ制御部,各種センサなどの構成モジュールの接続はLINバスで標準化できると思われる.