マルチプロセッサLSIに適したオンチップ・ネットワーク ――ダイレクト・データフロー・インターコネクト

東原朋成

tag: 組み込み

技術解説 2005年8月15日

● システム性能が向上

 TIEポートの使用例を図5図6に示します.図5のようにプロセッサ間や,プロセッサとハードウェア・モジュールの間をTIEポートを使って接続すると,高いデータ・レートを得ることができます.インターコネクトの負荷が共有バスと比べて軽くなれば,高いクロック・レートで動作します.また,必要に応じてデータ幅を増やすこともできます.バスを経由する必要性がなくなるので,不確定要素を極力排除できます.かつシステム・バスのアクセス負荷も軽減できます.

 TIEポートでは,プロセッサからハードウェア・モジュールを直接アクセスできます.例えば,割り込み発生時にプロセッサはハードウェア・モジュールの状態をTIEポートを通して直接知り,直接コマンドを与えられます.バス・アクセスなどによる不確定な遅延も排除できるので,ハード・リアルタイム・システムにおけるクリティカル時間違反によるシステム・フェイルといった現象を回避することが可能になります.

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図5 TIEポートを用いた事例
(a)のXtensa LXはハードウェアを直接制御できる.ハードウェアが割り込みをアサートした時点でステータスを直接読み込め,ハードウェア制御の遅延を最小にできる.(b)では,FIFOを使ってXtensa LX間でデータをやり取りする.フラグを使わず,FIFOの状態(full,empty)によって同期をとることができる.(c)はより高度な使いかたで,FIFOを通してデータをやり取りするだけでなく,例えばスレーブ側のXtensa LXのタスク終了をマスタ側に割り込み(スレーブのTIEポートがマスタの割り込み端子につながっている)で伝えると同時に,ステータスをマスタ側に返す.マスタはスレーブの動作をコマンドを使って制御できる.

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図6 TIEポートを用いたシステム設計の一例
この例では,DMAなどを使ってピクセル・データをFIFOバッファに取り込み,そのピクセル・データをソフトウェアで変換した後,直接,D1インターフェース(ハードウェア)に出力している.バス方式をとる場合,変換したピクセル・データをいったんフレーム・バッファなどに書き込み,そのデータをDMAなどでD1インターフェースに転送する必要がある.したがって,システム・バスの負荷が増大するとともに,バスにおける遅延に対処するため,多大なバッファをD1インターフェースなどが持つ必要がある.また,変換したピクセルを書き込むという作業はバスの有効利用の観点から非効率である.

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