ネットワーク・プロセッサを使ってネットワーク・ボードを開発する ――電源回路設計の留意点とボード実装時のトラブル対策
ここでは,Ethernet MAC(media access control)や暗号処理などの機能を内蔵したネットワーク・プロセッサを利用して,ネットワーク・ボードを開発した事例を紹介する.ネットワーク・プロセッサとしては,米国Intel社の「Intel IXP 425 Network Processor」を利用した.本ボードを設計するにあたって,電源投入/リセット・シーケンスやMII(media independent interface)の誤動作などに留意する必要があった. (編集部)
総務省の発表によると,2004年4月の時点でADSL(asymmetric digital subscriber line)加入者数は約1,100万人を,FTTH(fiber to the home)などの光ファイバ加入者数も120万人を超えたそうです (1).高速なインターネット接続環境が普及してきたことにより,新たなサービスが始まっています.IP電話サービスはすでに多くのインターネット・サービス・プロバイダから提供されています.また,「いつでも好きなときに」というわけにはまだいかないようですが,映像配信サービスも一部のプロバイダが始めています.
専用端末を用意すれば,こうしたサービスを受けることはもちろん可能です.IP電話サービスが開始された初期のころは,ルータに外付けのIP電話ユニットを追加して利用していましたし,VPN(virtual private network)用に専用ハードウェアを購入した方もいらっしゃると思います.しかし,最近ではルータ本体にIP電話機能を内蔵した一体型が主流となってきています.SOHO(small office,home office)などの少人数向きではありますが,VPN機能が内蔵されている製品や,ルータ本体だけでWebサーバやWebカメラ・システムを構築できる製品も出てきています.
こういった装置が小型(高集積)になった要因の一つとして,使用されている半導体,とくにCPUが強化され,従来は複数チップで構成されていた機能が1チップに集積されてきているという点が挙げられます.