つながるワイヤレス通信機器の開発手法(10) ──ASICを設計する(前編) 送信側のデータ処理の実装

太田博之

tag: 組み込み 半導体

技術解説 2004年3月11日

●チャネル・エンコーダの機能と実現方法

 チャネル・エンコーダはシステムによって異なるが,一般に以下のような機能を持つ.

1)フレーム組み立て
2)インタリーブ
3)エラー制御符号化

 フレームの組み立ては,システムの仕様に沿った取り決めに従って行われる.エラー制御符号化とインタリーブは良好な通信を確保するための処理であり,フレーム組み立て処理と同じくシステムの仕様に沿って決められている.

 フレームの組み立ては,図1で示したように決められたタイミングで,レジスタに設定されたデータとストリーミング・データを切り替える回路によって実現される.

 その概要を図11に示す.図の下部のフレーム構成は図2と同じである.図11の回路では,P,SW,CC,Eのレジスタに,CPUで設定されたデータとTCH(音声ストリーミング)データをフレーム・タイミングで切り替えて転送し,一連の通信パケットを生成する.スイッチの部分に書かれている数字はスイッチを切り替えるタイミングを示しており,フレームのタイミングと同期する.

 フレーム・タイミングは,自走するスロット・タイマの出力値をデコードして,各状態を示すビット列を出力するために利用される.フレーム切り替えタイミング信号以外にも,図12のような各種のイネーブル信号を生成する.

 インタリーブは,ランダム・エラー訂正能力しか持たないエラー訂正符号と組み合わせて使用する(原理については,本連載第6回を参照してほしい).送信側でインタリーブをかけた場合は,受信側でデインタリーブをかける.その結果,連続するエラー(バースト・エラーと呼ばれる)を複数箇所に分散させてランダム・エラーにする.ランダム・エラーとはバースト・エラーの逆で,連続しないビットでエラーが生じることを指す.

f11_01.gif
〔図11〕フレーム組み立て
P,SW,CC,Eのレジスタに,CPUで設定されたデータとTCH(音声ストリーミング)データをフレーム・タイミングで切り替えて,一連の通信パケットを生成する.

f12_01.gif
〔図12〕フレーム組み立てタイミング生成
五つの状態を示す3ビットのデータを出力する.フレーム切り替えタイミング信号以外にも各種のイネーブル信号を生成する


おおた・ひろゆき
加賀電子(株)

◆筆者プロフィール◆
太田博之.20年近くにわたりGPS,携帯電話,ワイヤレスLAN,Bluetooth用システムおよびシステムLSI開発を経験.現在はBluetooth開発アライアンスhimicoプロジェクト(http://www.himico.com/)でコーディネータとしてアライアンスに参加.システムLSI開発から次のフェーズへのステップアップを模索中.趣味はあまたある通信標準規格をだれよりも早く理解すること.

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