つながるワイヤレス通信機器の開発手法(10) ──ASICを設計する(前編) 送信側のデータ処理の実装
変調では,振幅,周波数,位相のいずれかに情報をのせる.のせる対象によって振幅変調(AM/ASK),周波数変調(FM/FSK),位相変調(PM/PSK)と呼びかたが異なる注.
変調信号は,図4のようにベースバンド変調回路,D-Aコンバータ,RF回路に含まれる直交変調器で作られる.
ベースバンド変調回路では,D-Aコンバータの出力のIとQに相当するディジタル・データを生成する.D-AコンバータのブロックにはI用とQ用の二つのD-Aコンバータが入っており,ベースバンド変調回路から来たディジタル・データをIとQに相当するアナログ信号に変換する.I,Qのアナログ信号については,直交変調器の中で以下の式に相当する変換が行われる(ここで,fcは送信電波の周波数).
式(1)は,上述の変調信号の式そのものである.したがって,図4の回路構成で適切なIとQの信号を生成できれば,どのような変調波でも作ることは可能である.
注;AM(amplitude modulation),FM(frequency modulation),PM(phase modulation)といった呼びかたはアナログ変調で用いられ,ASK(amplitude shift keying),FSK(frequency shift keying),PSK(phase shift keying)といった呼びかたはディジタル変調で用いられる.
〔図4〕変調回路の実例
変調信号は,図のようにベースバンド変調回路,D-Aコンバータ,RF回路に含まれる直交変調器で作られる.