つながるワイヤレス通信機器の開発手法(10) ──ASICを設計する(前編) 送信側のデータ処理の実装

太田博之

tag: 組み込み 半導体

技術解説 2004年3月11日

●2の補数でD-Aコンバータを表現する

 QPSK用のIとQの信号をベースバンド変調回路で生成するためには,表1に比例したD-Aコンバータの値にマッピングする必要がある.変調回路などの数値演算回路を設計する場合,ディジタル・データを表すには2の補数表現を利用するとつごうが良い.4ビットD-Aコンバータに2の補数表現を適用した例を表2に示す.

 2の補数では,正側はMSB(most significant bit)を除いたビットの最大値(4ビットの場合は0111)を正の最大値にし,小さくなるにつれてそこから1ずつ減るように割り当てる.負側は全ビットを使った最大値(4ビットの場合は1111)を負の最大値にし,小さくなるにつれてそこから1ずつ減るように割り当てる.このような考えかたに基づいて正負の数を2進数に割り当てると,負から正へ直線的に値が増えることになる.図6の例は「-2.5+1.5」であるが,これを10進数で計算すると-1.0が答えになる.しかし,この場合は-1.0という値はないので,-1.5に丸められる.丸めるときはつねにマイナス側に丸める.

 表2より1/√2と-1/√2はそれぞれ"0101"と"1010"に近いことがわかる.そこで,表3のようなデータを変調回路の出力として出すように設計すればよいと言える.

f06_01.gif
〔図6〕 2の補数
正負の数を2の補数表現に従って2進数に割り当てると,負から正へ直線的に値が増えることになる.

〔表2〕 D-Aコンバータ・データ

2の補数
10進数
8を1とした場合
 
0111
7.5   
0.9375   
 
0110
6.5   
0.8125   
 
0101
5.5   
0.6875   
≒ 1/√2
0100
4.5   
0.5625   
 
0011
3.5   
0.4375   
 
0010
2.5   
0.3125   
 
0001
1.5   
0.1875   
 
0000
0.5   
0.0625   
 
1111
-0.5   
-0.0625   
 
1110
-1.5   
-0.1875   
 
1101
-2.5   
-0.3125   
 
1100
-3.5   
-0.4375   
 
1011
-4.5   
-0.5625   
 
1010
-5.5   
-0.6875   
≒ 1/√2
1001
-6.5   
-0.8125   
 
1000
-7.5   
-0.9375   
 

〔表3〕変調回路出力

  
θ
I
D(I)
Q
D(Q)
00
-3π/4  
-1/√2  
1010
-1/√2  
1010
01
3π/4  
-1/√2  
1010
1/√2  
0101
10
-π/4  
1/√2  
0101
-1/√2  
1010
11
π/4  
1/√2  
0101
1/√2  
0101
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