TSMCやIBM社などの製造ラインを使い,1/5~1/10の費用でLSIを試作 ――複数ユーザが1枚のウェハに相乗りして試作コストを低減

森下弘章

tag: 半導体

技術解説 2004年3月 2日

●0.25μm CMOS,3mm角チップの試作は200万円弱

 費用は読者のみなさんがいちばん気になるポイントだと思います.MOSISでは日本向けの価格も紹介しています.基本試作費用の例を表3に示します.

 マルチプロジェクト・ウェハ方式の試作サービスは,もともと大学などの研究目的が発端でスタートしました.近年は,大手電機メーカと言えども製品開発コストの低減が課題となってきています.加えてIPコアの検証や開発の効率化の観点から,こうした試作サービスを利用するユーザが増えています.

 また,単なるサンプル・チップの提供にとどまらず,回路設計まで含めてサポートする動きもでてきています.例えばMOSISの代理店であるシリコンソーシアムの場合,A-Dコンバータの設計経験が豊富なデジアン・テクノロジーや,モータ駆動用ICなどの高電圧・大電流ドライバを得意とするステディデザイン,RF ICを開発している米国TahoeRF社と提携し,回路設計のサポートを行っています.さらに,パッケージやLSIの解析・評価の分野でも,日本や台湾の企業とパートナシップを結んでいます.

 ここで紹介したLSIの安価な試作サービスを活用することにより,半導体メーカやデザイン・ハウス,機器メーカが特徴のあるLSIを世に送り出し,日本の半導体業界やエレクトロニクス業界に活力が戻ってくることを筆者は期待しています.

〔表3〕 試作費用の例

製造プロセス
チップ・サイズ
数量
試作費用
AMIS社,1.5μm CMOS 2.2mm×2.2mm
5個
124,300円
TSMC,0.25μm CMOS
(ミックスト・シグナル)
3mm×3mm
40個
1,980,000円
TSMC,0.18μm CMOS
(ミックスト・シグナル)
3mm×3mm
40個
4,009,500円
IBM社,0.5μmSiGeバイポーラCMOS(5HP) 3mm×3mm
40個
2,255,000円
IBM社,0.25μmSiGeバイポーラCMOS(6HP) 3mm×3mm
40個
5,676,000円


もりした・ひろあき
シリコンソーシアム(株) 代表取締役

◆筆者プロフィール◆
森下弘章.シャープの半導体部門でプロセス開発や商品企画,経営スタッフ,事業契約,海外戦略,国際協業,合弁設立などに携わる.2003年4月より現職.本記事の内容についての問い合わせはmorishita@si-cons.co.jp まで.

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