TSMCやIBM社などの製造ラインを使い,1/5~1/10の費用でLSIを試作 ――複数ユーザが1枚のウェハに相乗りして試作コストを低減
●契約手続きは製造企業ごとに異なる
LSI試作サービスの具体例として,MOSISのサービスについて説明します.MOSISのLSI試作サービスは,南カリフォルニア大学がサポートしています注3.
MOSISは,1981年から大学をはじめとする教育機関や研究機関,デザイン・ハウス,電機メーカなどにサービスを提供しており,すでに5万件以上の設計実績があります.例えばMIPSプロセッサなども,最初はこのサービスを利用して開発されたものです.
MOSISの試作サービスには,以下のような特徴があります.
- 回路設計時に,提携している半導体メーカのIPコアや回路ライブラリなどの設計情報を利用できる.
- 設計するチップの大きさに制限がない.
- 多種多様なプロセスによる試作を行える.
- 大手ファウンドリ企業の量産プロセスを利用しているので,信頼性が高い.また,量産に移行する場合に設計変更を行う必要がない.
- 試作数量は原則40個以上(例外もある)で,個数は自由に指定できる.
- パッケージのラインナップが幅広い.
- 試作だけでなく,少量の量産にも対応できる.
- 一般の量産試作と比べて安価である.
注3;日本では筆者ら(シリコンソーシアム)が代理店となっている.シリコンソーシアムのホームページのURLは「http://www.si-cons.co.jp/」.