TSMCやIBM社などの製造ラインを使い,1/5~1/10の費用でLSIを試作 ――複数ユーザが1枚のウェハに相乗りして試作コストを低減
●LSIの試作費用を1/5~1/10に
半導体プロセスの微細化はとどまるところを知りません.MOSトランジスタのゲート長は0.13μmから90nm,65nmへと移行しようとしています.一方,ウェハの口径は8インチから12インチへと移りつつあります.このため,LSIの製造に必要なマスクやウェハの費用が上昇しています.また,LSI製品の寿命がどんどん短くなっており,それに比例して,新たなLSIを開発する頻度も上がっています.
このように,トータルのLSI開発コストが上昇していることから,カスタムLSIの開発はファブレスのスタートアップ企業や機器メーカのASICユーザなどにとっては,手の届かないところへ行ってしまったような気がしてしまいがちです.しかし,LSIの試作に限れば,必ずしも悲観する必要はありません.
マルチプロジェクト・ウェハ方式のチップ試作サービスを利用すると,マスクやウェハの費用を複数のユーザで分担することから,試作費用を通常(量産試作の場合)の1/5~1/10に引き下げることができます.すなわち,これまでは費用の関係であきらめざるをえなかった小さなデザイン・ハウスや機器メーカであっても,比較的容易にカスタムLSIを試作できるのです.表1にマルチプロジェクト・ウェハ方式の試作サービスが,現在,どのような目的で利用されているかをまとめました.
〔表1〕 LSI試作の目的と方式
目 的
|
必要なチップの数
|
チップ試作の方式
|
LSIの研究・開発 | 数個~十数個 | マルチプロジェクト・ウェハ |
IPコアの検証 | 数個~十数個 | マルチプロジェクト・ウェハ |
LSIの機能検証 | 数個~十数個 | マルチプロジェクト・ウェハ |
LSIのサンプル評価 | 数百個~1,000個前後 | マルチプロジェクト・ウェハ,専用ウェハ |
LSIの量産試作 | ウェハ12枚または24枚 | 専用ウェハ |