TSMCやIBM社などの製造ラインを使い,1/5~1/10の費用でLSIを試作 ――複数ユーザが1枚のウェハに相乗りして試作コストを低減
●マスク・レイアウトを受け渡す
次にマルチプロジェクト・ウェハ方式を利用してLSIを試作する場合の一般的な作業手順を説明します.作業手順は,以下のようになります.
- 開発するLSIの概略仕様を決める.
- LSIを製造するプロセス技術(CMOS,バイポーラ,SiGeなど)を決める.
- 所望のプロセス技術による試作を提供できるサービス提供者(MOSIS,VDECなど)と基本契約や秘密保持契約などを結ぶ.必要に応じてLSI試作の申し込みの手続きをとる.
- 上記の契約に基づいて,設計に必要な情報(設計ルールやSPICEパラメータなど)を入手する.
- 回路設計やレイアウト設計を行い,マスク・データを作成する.
- マスク・データの検証を行う.
- 作成したマスク・データをサービス提供者に送付する.マスク・データのフォーマットはGDS II.暗号化して送付することもできる.
- アセンブリ(組み立て,パッケージング)やテストを行いたい場合は,別途申し込みを行う(通常は,オプション・サービスになっている).
- サービス提供者が簡単なマスク・データの検証を行う.
- マスク・データの受け取りから,マスクの作成,ウェハの製造,チップの切断(ダイシング),出荷までは,サービス提供者が責任を持って行う.
- ベア・チップまたはパッケージに封止されたチップを受け取り,評価を行う.
LSIの試作サービスでは,原則として量産実績のある製造プロセスを使用します.そのため,新規のプロセスで起こりがちなプロセスに起因する不ぐあいが発生する心配はほとんどありません.また,試作に利用したものと同一のプロセスを使ってLSIを量産する場合,基本的には試作のものと同じマスク・データを利用できます.