車載システムにおける高信頼性と電力管理機能の実現 ――ソフトウェアにもフェイル・セーフの考えかたが必須
●CPU,周辺回路,メモリの消費電力を制御する
電力管理という視点からハードウェアを見た場合,次の要素を制御する必要があります.
- CPUの電力:電力供給のON/OFFだけでなく,クロック周波数を制御することで消費電力を低減するCPUが存在する.
- 各デバイスの電力:アクティブでないデバイスの電源をOFFにすることによって,電力の使用状態を制御する.
- メモリの電力:DRAMの場合,リフレッシュだけを行い,消費電力を最小にする.
これらの電力管理を行う場合,全体をいくつかのモードに分けて,その遷移の中で上記のハードウェアをどのように扱うかを決めることが必要となります(図3).
モード
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内 容
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電源停止状態 | 電源が供給されていない状態 |
動作状態 | すべてに電源が供給され,アクティブに動作している状態 |
アイドル状態 | 消費電力が減っているが,すぐに動作状態に戻れる状態 |
スタンバイ状態 | 電源の負荷が最小で,すぐには動作状態に戻れない状態 |
遷 移
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内 容
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コールド・ブート | 電源がONにされたときの起動シーケンス |
スリープ/レジューム | 「動作状態」と「アイドル状態」の間を行き来する遷移 |
スタンバイ | 「スタンバイ状態」への遷移 |
ウォーム・ブート | 「スタンバイ状態」から「動作状態」への遷移 |
〔図3〕モードによる電力管理の状態遷移
例えば,マイクロカーネルOS「QNX」では,図のようなモードによる遷移を一般に用いている.